風の市兵衛〈弐 〉 ㉛ 春風譜 辻堂魁
小春の兄の又蔵が、妹と渋井の息子・良一郎との縁談を知り家出をした。
市兵衛は、我孫子宿の親戚の南吉の所にいるはずの又蔵に会い、三十両を渡すことを父親・扇職人・佐十郎に頼まれた。
青山村の南吉の家は空きやになっていた。市兵衛は南吉を探す。南吉は父親が亡くなり、稲が病気になり、虫にやられたり、借金した。寒い夏が二年続き借金が増え田畑を手放した。牛次郎の賭場に入り浸りになった。南吉を牛次郎の子分が探し回っていた。
南吉の子供を身ごもっているらしいおことに会う。
南吉の幼い頃の唯一の友だち・竹弥・法名・朱恵を尋ねる。朱恵は南吉から五十両を預かっていた。おことと母親を残して昔青山村から姿を消したおことの父親・勘助が旅姿で南吉を呼び出し、おことのために村に帰って田畑を買い戻せと渡された金だった。
根戸村の尾張屋源五郎親分が殺されていた。殺したのは、牛次郎に五十両で頼まれた勘助だった。勘助は牛次郎に五十両を取り返すために殺していた。その時五十両は無かった。勘助がおことの父親だと知って、牛次郎は南吉を探していた。
南吉と又蔵の隠れ場所を見付けた牛次郎は、市兵衛も一緒に殺すつもりで、南吉の所へ案内する。
市兵衛は牛次郎の子分たちも捕まえる。牛次郎の義父殺しや、妻殺し、源五郎殺し、勘助殺し、陣屋の元締め・小曽木との癒着まで洗いざらい調が進んだ。
南吉は五十両を尾張屋にお供えした。又蔵は市兵衛の持ってきた三十両を南吉に渡した。南吉は名主の借金を返し田畑を返して貰った。おことを迎えに行く。
江戸へ帰る許可が出た。又蔵は市兵衛と一緒に江戸へ帰る。渋井が佐十郎の店に立ち寄った。市兵衛から飛脚の便りがあったことを聞く。市兵衛が心配ないとあったのなら大丈夫だと安心する。
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