2023年6月4日日曜日

京都寺町三条 のホームズ① 

京都寺町三条 のホームズ① 望月麻衣

 ホームズと白隠禅師 真城葵17才は、亡くなった祖父の掛け軸を持って寺町三条の「蔵」へやってきた。葵は付き合っていた彼に別れようと言われ、葵が親友だと思っていた女子と付き合い始めたと聞き確かめに埼玉に帰るためのお金が必要になった。掛け軸は白隠禅師の本物だった。店番のホームズこと家頭清貴22才は、志野の茶碗の前で足を止め見入っている葵に、ここでアルバイトしませんかと奨める。交通費を稼いで帰りたければ帰ればいいのではと。葵はアルバイトをすることにした。

 願わくは桜の下にて 葵は心の声に応えるホームズに驚く。葵は倉の二階で古美術品のレクチャーを受ける。オーナーの車・ジャガーが蔵の社用車になっている。
 仁和寺で岸谷さんの父親が残した野々宮仁清の京焼を見ながら、父親が息子に遺した気持ちを伝える。売れる漫画を描いても、自分の魂を込め自分のブランドを作る。
 葵は、願わくば桜の下にて春死なむそのきさらぎの望月のころ と言うと、桜の下ではなく花の下だと訂正される。
 京男はいけずやから
 
 葵の頃に 今年の斎王代の母子がホームズに相談に来る。西陣の宮下呉服店の奥さんと娘・斎王代の佐織さん、妹の香織さん。香織は葵とクラスは違うが同級生で顔見知りだった。斎王代を辞退しろという怪文書が二度届いた。ホームズに誰が出したか調べて欲しいという。
 佐織が出品している華道展に行く。友達の佐織批評を聴く。
 糺の森で判ったことを話す。家の経済状態を考えた香織が怪文書を書いた。父母が広告費と思えば安いものだと言うのを聞いて処分しようと思ったが、怪文書を見つけた佐織が自分でバックに入れ、二通目も佐織が書いた。佐織は友達に嫌われたくなくて斎王代を辞めたかった。香織は、しょうもないこと、ええ加減に卒業して新しい世界にでて、あの人と友達だったと言い出すほど素敵な女性になってと言う。佐織は店のためにと婿を取って家を継ぐことを考えている。自分は自由にできる身なので、できるだけ姉をサポートするつもりだという香織。
 葵は、ホテルオークラの名物アンパンを食べに行こうと香織を誘う。ホームズは、友達になりたいと思える人に出会えて良かったねと言う。
 百万遍の願い 店長・清貴の父・作家伊集院武史の小説に込めた気持ちを聞く。息子・清貴の才能に嫉妬する気持ち。
 百万遍知恩寺の手づくり市に行く。毎月15日。清貴は文献文化学を学ぶ。清貴はフリーマーケットで逸品と思うカップを買う。清貴は、骨董屋が売ろうとしている茶碗を偽物だと言い、ただの茶碗を川喜田半泥子の物だと言う。二百万だと言う。
 百万遍の由来を聞く。善阿は、念仏を百万遍唱えた。
 清貴は高三の頃に相手に裏切られた失恋話しをする。父親の小説に込めた気持ちを知っている。祖父の努力も知り、自分も努力している。そして父は甘いと言う。
 葵は埼玉に行くことをやめた。一生懸命バイトしたお金をそんなことに使いたくない。鞍馬にハイキングに行くことにする。
 
 鞍馬山荘遺品事件簿 葵は清貴と鞍馬に行くことになった。店長に梶原先生の鞍馬の山荘に行ってほしいと頼まれた。貴船の川床での食事が決まった。
 葵は清貴を見るたびにかっこいいなと思う。鋭さにドキンとする。
 三ヶ月前に亡くなった作家・梶原の山荘に行き、梶原の妻・綾子、IT企業社長の長男・冬樹33才、イケメン俳優の次男・秋人25才、府立大二年の三男・春彦20才の相談に乗る。父親が三兄弟に残した掛け軸が、燃やされた。誰が燃やしたのか。燃やしたのは、綾子。掛け軸を送られた意図を解明する。綾子と春彦がいない時に、清貴は、春彦の父親は秘書の倉科だという。二人は次期を見て春彦に教えることにする。
 綾子が貰ったアクアマリンの石言葉は自由だと伝える。
 
 祭りのあとに チャライ秋人は、清貴の所に遊びにくる。
 祇園祭の間、蔵は浴衣を着る。葵のナデシコの浴衣を清貴が選んだ。清貴は祇園祭を動く美術館と言う。
 清貴の元彼女が蔵に来る。結婚が近いらしい。意味深な手作りの茶碗を置いて帰る。葵は和泉の「やっぱりあなたが好き。今も忘れられない」という告白だと感じた。
 宵宵宮の夕方、和泉が蔵へ来た。
 葵は 祇園祭見学に京都へ来ている埼玉の友達に会いに行った。元彼・克実と元親友・早苗がいた。二人が葵に謝り、廻りの友達もふたりの見方に廻る。泣かないで踏ん張っている葵を清貴は迎えに行き、みんなの中から助け出す。葵は清貴の胸で思い切り泣く。
 清貴に和泉のことを聞いた葵に、夏の夜の夢のような短くはかないあなたの気まぐれに、僕との間につまらない噂が立っては困りますと歌を返したと言う。茶碗には打算と迷いが見え、逃避だと伝わって来たと言う。彼女に結婚を迷うのであれば両親に相談したほうがいい。一生後悔しますよと伝えた。
 葵は清貴を、優雅だが鋭い切れ味「京男子」と名付ける。
 

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