2023年6月8日木曜日

京都寺町三条のホームズ ♦5 

京都寺町三条のホームズ ♦5 望月麻衣

 桜色の恋文 三月二十五日 葵、香織、清貴、秋人、店長、五人で城崎へ行く。途中、天橋立に行く。
 大晦日の家頭家のホームパーティーで柳原茂敏先生が、真贋ゲームで手に入れた「月見屋」の宿泊券使うたかと聞いてきたことから秋人が加わり五人で行くことが決まった。
 秋人はどこに行っても人気が出てきた。
 「月見屋」では、香織の姉・佐織がアルバイトをしていた。途中で、利休が加わる。利休は、清貴と佐織はお似合いだと言う。清貴は、佐織さんがお付き合いしている人に失礼だと言う。付き合いを隠している佐織は、清貴に彼からきた手紙を見せ、どういう意味なのか聞く。清貴は、会いたい、会いたくて仕方なく抑えられない気持ちを絵に込めていると言う。
 葵は、清貴に回りくどく気持ちを伝えたことがあるかと聞く。清貴はあると答える。伝わっていなかったと答える清貴。
 佐織の彼が帰ってきた。米山だった。

 シャーロキアンの宴 葵と清貴は、シャーロック・ホームズクラブの221記念会に行く。
 桜の木の枝が切られたり、持ち籠れたコナン・ドイルの未発表の原稿が無くなったりした。
 みんなの動きを聞いたホームズの格好をしたホームズは、会の場所を提供したマダムの執事・西澤が持っていると指摘する。そして桜の木を切ったのは、カーテンを開けた杉村だと言い切った。カーテンを開けるためのレバーにピアノ線が仕掛けられレバーを回せば桜の枝が切れるようになっていたと指摘する。マダムが誤る。あまりに欲しかったと。ホームズは、マダム、皆さん名演技でした。ゲストに向けての寸劇でしたと締めくくる。
 未公開原稿を見たホームズは、偽物だと言った。書いている人の感動とか興奮が伝わってこないと言う。
 葵はシャーロックホームズを読もうと思った。

 紫の雲路 葵は学校行事で、西京極スタジアムで京都サンガF・C・の応援に行く。京都サンガには大木高校出身の一条選手がいた。大木高校新三年生の女子は、サンガチアガールになってダンスをする。
 清貴の高校の先輩・田宮が、土曜のサッカー観戦の誘いに来る。一旦は断るが、イベントの話を聞き、行くことにする。田宮は京都サンガの広報だった。一条の様子が変だということ、そして不調だと心配だと言う。
 当日、清貴と昼を食べ、京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場へ言った。出会った同級生に彼氏と聞かれる。いつもカップルと間違われてすみませんと言う葵に、清貴は、光栄ですと言う。葵は相変わらずお上手な人だと思う。
 試合中に、一条選手20才が、高校教師・早川29才に交際を申し込んでいることが分る。年上であること教師であることを考え、早川先生は、ハイと、答えられないことを、清貴は暴く。それを聞いた周りの高校生は、先生を応援し、一条にYESとポンポンで知らせる。一条の元気は復活しゴールを決め、試合に勝った。早川の手を取ろうとした一条にキャプテンが言った。選手はプライベートを試合に持ち込んではいけない。見に来る人のため人も、自分の大切な人を守るためにもと言った。
 今回のホームズさんはちょっと手厳しかったと言う葵に、清貴は、煮え切らなさが自分を見ているようで、自分自身に言っていたのかもしれないと言う。

 茜色の空に 店長にインタビューと言い青磁の壺を見て帰った雑誌記者。店長のマグカップを持って帰ったと聞いた清貴は、多分円生でしょうと言って木刀を持って待つ。やってきた円生に、あんな才能を持つあなたなのに、どこまで落ちるのか、何をやっているのかと言う清貴。青磁の壺の盗みを失敗した円生は、「志野の茶碗」を持って帰っていた。
 次の日、茶碗奪回のために、清貴と秋人と葵は、パソコンのヒントに誘われ二条城に行く。清貴は、書と生け花の円生の作品を見付け、次の誘いの場所に行く。葵は、いやな予感がして、ホームズに蔵で待っている。遅くなっても待っていると伝える。
 化野で出会ったホームズは、円生と話す。円生は自分のアトリエの地図を渡し、そこに茶碗があるから持って帰りと言う。古いアパートに行った。鍵の掛かった箱の中に茶碗があった。時間内に鍵を開けないと爆発すると言う。清貴は十六文字の英字を考える。時間ぎりぎりでキーボードを叩いた瞬間、爆発音がした。直後、ディスプレイに花火の映像が流れ、ウェストミンスターの鐘の音が流れた。清貴は腰を抜かしていた。鍵が明き、茶碗は戻った。
 蔵に帰った清貴は、待っていた葵に話す。聞いた葵は、我慢できなくてずっとホームズさんを・・・言いかけた葵を清貴は止める。葵は受け入れられるとは思っていないが、告白もさせてもらえないのかと俯く。清貴は葵を抱きしめ、「そこまで言わせて堪忍、僕がちゃんというべきやった。僕は葵さんが好きや」・・・。まだ言う気はなかったが、死ぬかと思った時、あなたに気持ちを伝えたかったと思い、帰ったら絶対にと思った。
 オーナー、店長、秋人も揃い、近所の三嶋亭に行く。二人は手を繋ぐ。店長はあんな清貴を見るのは初めて本当に良かったと言い、秋人は小学生かよと言う。
 

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