とりどりみどり 西條奈加
螺鈿の櫛 飛鷹屋の末息子・鷺之介11才は、去年長姉・瀬已20才がお嫁に行き喜んでいた。伯母さんに、次女・日和17才と三女・喜路の見合いを頼む。
姉が婚家から帰って来た。大切な母親の形見の螺鈿の櫛が無くなったという。婚家も金遣いが荒くやっていけないと言う。瀬已は、ちゃんと言ってくれればいいのにと言うが・・・。
三人の姉が、自分の名前に因んだ螺鈿の櫛を持っていることを知った。
ふういんきり 姉たちと一緒に芝居に行った鷺之介は、職人の息子・五百吉と妹・つきと友達になった。五百吉は、何度も何度も同じ男と出会うと話す。顎に傷があるその男と稲荷の境内であったと言う。話を聞いた姉は、五百吉が危ないと言う。五百吉が勾引かされる寸前、姉が五百を助ける。封印切りをした封印を拾われたと思っていたのだった。日和は、そんなの有るわけないのに・・・。
とりかえばや 喜路が戯作者になるために竹内丙蔵の弟子一刻歳に会いに行く。一刻歳は怪我をして倒れていた。一刻歳は丙蔵の娘婿の弟だった。丙蔵は住まいを隠していた。そのために喜路は一刻歳に会いに来たのだった。やってきた兄。一緒にきた丙蔵の妻・雁に、喜路は、丙蔵先生ですねと言う。三年前に、書けなくなって江戸からいなくなった丙蔵の代わりに、雁が書いていた。そのことを知った一刻歳が、強請っていた。原稿を持ち出し、2代目丙蔵の名を継がせと言ってきた。原稿を取り返すため雁が殴った。喜路は、女にしか書けない。雁の弟子になると言う。一刻歳も喜路も雁の弟子になった。
五両の手拭い 亀甲堂という手拭い屋で、売れないと言われた手拭いを五両で買った。手拭いやの主人が返して欲しいとやってくる。姉たちは返さない。おかしいと姉たちは柄を読む。主人は捕まった。盗人が調べたものを書き手拭いにしていた。
鷺と赤い実 母・七の月命日に、初めて鷺之介が一人で墓参りに行った。母の好物の拳骨饅頭を買って行く。母の墓に、拳骨饅頭と、姉たちの櫛と同じような櫛があった。鷺と南天かなと思い持って帰ってしまう。姉たちは、櫛を見て、鷺と七竃だと話す。鷺之介は、寺で誰が置いたか調べるが分らない。拳骨饅頭屋で聞く。知っていた。十年ぶりに江戸に来た錺師の佐木蔵さんだった。佐木蔵への言づてをする。姉たちと待ち合わせの場所へ行くと、姉たちは夜中に泣いていた赤子の話をしていた。鷺は捨て子なの?
とりどりみどり 飛鷹屋の長男は、飛鷹屋の主人と七の息子・鵜之介23才。三人の娘はそれぞれ母親が違った。
鷺之介は、家出して五百吉の家に行った。次の日の朝、鵜之介が迎えに来た。そして鷺之介に出生の話をした。
鷺之介の母は七だが、父親は飛鷹屋の主人ではないこと。七は草津で鷺之介を産んだこと。草津には、喜路の母親が付き添ったこと。七が恋しく、鵜之介と瀬已は女中頭・滝と共に草津へ行き産んだのを見たこと。知れたら七が赤ん坊と家を出なければならないため、赤ん坊を捨て子とし、七が私が息子として育てると主人に話したこと。
鵜之介と鷺之介は、佐木蔵に会う。二人で話す。拳骨饅頭の好きなのは佐木蔵だった。櫛を貰って欲しいと言われ、好いた人が出来た時その人に贈りますと返事する。
父・鳶右衛門は鵜之介から話を聞いた。いつから知っていたのかときく鵜之介に、七と鵜之介と鷺之介の三人で楽しそうに語らっていた時、三人は親子なんだと、よく似ていた。
知らない振りをしたのは、七んい何度も痛い思いをさせていたことに気がついたから。
鷺之介が大きくなったら男三人で愚痴をこぼそう。と鳶右衛門と鵜之介は楽しみですねとしゃべっている。
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