2023年6月5日月曜日

京都寺町三条のホームズ♦2

 京都寺町三条のホームズ♦2 望月麻衣
 〜真贋事件簿〜

 序章 夏の終わりに 
 苗字が家頭だからホームズと呼ばれているという清貴。
 お勉強タイムと称して古美術勉強会が始まった。黄瀬戸だという贋茶碗を持った男が来る。葵偽物だと判る。
 偽りを許せない真っ直ぐな人
 京男子は腹黒い。

 第一章 目利きの哲学 二学期が始まる。
 家頭誠司の喜寿の祝いの誕生パーティ。
 清貴と哲学の道から銀閣寺
 香織は、清貴を得体の知れない怖い人と言う。
 オーナーは2年前、家宝探訪というテレビ番組に出ていた。ドン・影山の持ってきた染付の壺を偽物と判断した。番組のため本物だと言うように強制されたオーナーは、拒否し、テレビに出なくなった。
 オーナーの家は石造りの洋館で、美術品展示用屋敷だった。庭は和庭園。
 オーナーには、付き合って十年になる好江さんという彼女がいた。淡いピンクのワンピースを貰う。
 香織は家族で出席、芸能人や秋人もいてミーハーぶりを発揮。
 ドン・影山が恥をかかされたことを恨み、青磁の壺を割ったように見せかけた悪さをしかけたマジシャンがいた。オーナーも清貴も贋青磁だと見抜く。マジシャンとポーカーの勝負をする。清貴はカードが配られた段階で、繰り方、配り方でカードを見る前に、相手の手持ちカード、自分のカードを見抜き勝てないことを宣言する。
 自分は見習い鑑定士だが、ー目利きを舐めたらあかんでー 微笑み瞬時に鋭い眼差しで。
 オーナーは言う。影山さんに恥をかかせたことは申し訳なかった。しかし、鑑定士が、偽物を本物とは絶対言えへん。目利きの哲学や。
 清貴は人を怖がらせたことを自嘲した。葵はオーナーを護ろうとして素敵でしたという。清貴は尊敬し、全てを受け継ぎたい、そして超えることが出来れば・・・・と漏らす。

 第二章 ラス・メニーナスのような 秋。岡崎の高宮邸に行く
 米山涼介、蔵に来る。元贋作師。オーナーに見破られ罪を償い足を洗う。贋作師時代に関係した高宮に「ディエゴ・ベラスケス」のような絵を描いてほしいと頼まれる。完成品を持って行く時付き添う。高宮氏は亡くなった娘の少し成長した絵を気に入ってくれたが、希望した絵とは違ったようだ。
 清貴は、高宮の望みはラス・メニーナスのような絵を希望したと解釈した。高宮一家が幸せそうに遊んでいる光景を希望したと解釈した。米山はもう一度挑戦指せて欲しいと頼む。

 第三章 失われた龍 梶原秋人のレポート 
 梶原秋人の 五分間の京の町を伝える旅番組が始まる。
 美術館で清貴が、偽物を見つけた。
 
 秋人は清貴に南禅寺案内を頼む。南禅寺紹介と共に、清貴の恋愛感・相手の嘘、打算が分ってしまうことを聞く。葵が初めて蔵に来た日に助けてあげたくなったことを話す。
 
 清貴は南禅寺に呼び出されていた。相手をした僧は円生。相談は副住職から、龍を頂戴いたしました。という手紙を見せられる。清貴は、「瑞龍」の書が偽物と取り換えられているという。その犯人はと、扇子を円生の頭上に叩きつけるが、円生は両手で受け止める。
 いつ判った?という問いに。始めから違和感があった。清貴のことを知っていた。瑞龍の書の前で少し緊張した。口数が増えた。あなたの模倣性。
 円生は、贋作師を極めた。誰も偽物と気付かない。快感からつまらなくなり、罪を改め出家しようとした。何年も見破られなかった贋作を大学生・清貴に見破られた。挑戦したくなった。
 本物は寺の倉庫にあった。
 副住職は、贋作を見抜いて貰ってうれしかった、個を認めて貰ったような気になった。宿命のライバルを見つけたような気持ちだろう。円生を頼みますよ、寺町三条のホームズはんと言う。

 第四章 秋の夜長に 
 東福寺に三人で行く。
 近くの空家になった秋人の伯母の家の骨董品の鑑定に行く。
 秋人の第一回の京都を紹介する番組を三人で見る。
  
 葵は、東福寺がホームズと和泉の思い出の場所だということを思い出す。在原業平のなれ初めの歌。ホームズは別の歌、
  きみにより 思いならひぬ世の中の 人はこれをや 恋といふらむ
憧れだと言う。
和泉への想いは精算したが、裏切られたショックはトラウマのように残った。もう傷つきたくないから恋をすることに拒否反応をしている。葵は自分とホームズが同じだと思った。
 
 清貴は、洋館の内部の骨董品の鑑定をする。葵は清貴の記入をする。秋人は庭の草むしりをしてバーベキューの用意をする。
 清貴は南禅寺の副住職に言われた「深窓の坊ちゃん」に拘る。唯我独尊な祖父と超マイペースな父に囲まれ、二人の世話をし、家や店の管理、調理師、運転手、荷物持ち、ボディガード、翻訳家、小間使いとこき使われている。が、円生に比べると温室育ちだと判っている。そして円生の幼少期を語る。何も知らないけれど感じられることを。
 秋人のテレビ番組を見る。葵、素敵だった。まんまホームズの真似だった。清貴は、あそこまで自分を偽れば、後々苦しくなると言う。秋人はあの番組に合わせた役者としての演出だと言う。

 停電する。秋人の絶叫。人形が歩く、笑う。一人になった秋人の前に白い女の影が。秋人は絶叫。秋人は心霊現象だと言う。葵が、怪奇現象の犯人はホームズだと言う。ホームズは、秋人のマネージャーに、番組で上品に京都を紹介している梶原秋人はこんな奴だ、というのをお茶の間に届けたいから協力してほしいと頼まれていた。ドッキリ番組で、年末の特番だった。

 最終章 迷いと悟りと 十月下旬 
 クラスの友達に大学生との合コンにさそわれていると葵が清貴に言う。
 日曜の午前、秋人と三人で嵐山の鈴虫寺・華厳寺へ行く。
 午後、柳原重敏鑑定士の生誕祭に行く。真贋ゲーム葵優勝。
 柳原邸の後、鷹峯の源光庵へ行く。
 葵の清貴評 負けず嫌い、頑固で真っ直ぐ。いつも見せている顔と全く違う顔を持つ。そんな面も素敵だ。
 清貴の弁 負けず嫌いで頑固、普段見せている顔とは違う面を持つ表裏のある男。表はさておき裏の顔を誉められたことがない。
 葵 表も裏も同じホームズさんだ。

 鈴虫寺でホームズと秋人の掛け合いを聞き、テレビの人と言う声が聞こえる。雰囲気が全然違うよと。秋人はホームズ的男子を求められ辛い。ホームズは猿まねするからですよと言う。秋人は芸術界で成功できますようにと願う。
 渡月橋、十三参りの話。
 保津川下りのはなし。
 天龍寺
 柳原先生の八十才の誕生日の祝い。秋人は「京日和」の子やな。
 真贋判定ゲームが行われる。信楽の壺、古九谷の皿、古瀬戸の壺、黄瀬戸の茶碗、志野の茶碗、全て当てた葵は優勝し、城崎の高級旅館のペア宿泊券を貰った。
 清貴は自分の目に狂いはなかったと誇らしげだった。秋人は実はすげーんだ、と感心する。米山は生まれ持った鑑定眼に真っ直ぐ真実をみようとする人だと言った。柳原は、この若さでこんな子なかなかいない。さすが清貴の選んだ子だと言った。
 柳原が、清貴に「我がイギリスの海岸」の真贋を鑑定してほしいと出してきた。清貴は偽物と判定する。誰がこの問題を出したかと質問した後、丸い鏡を見て、清貴はパーティを退出する。葵と秋人も一緒に行動する。
 源光庵にいたのは円生だった。父は画家だった。飲んだくれの父の代わりに絵を描いた。
円生は扇子を喉元に突き出し返した。白紙だった扇子に勝の文字が書かれていた。
 見破りはしたが、今回は僕の負けやと言う清貴に、葵は次に円生が仕掛けて来た時、しっかり見破ってくださいと言った。今度は絶対に負けないでという葵に、今度は完膚なきまでに叩きのめしてみせると言う清貴。
 葵さん、僕は・・・何かを言いかけた清貴だったが、秋人に呼ばれてそのままになった。
 

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