京都寺町三条のホームズ♦4 望月麻衣
〜ミステリアスなお茶会〜
序章 年の初めに
一月三日 蔵の営業初日 和服で出社。葵は弘法さんで買ったクリーム地の小紋を着る。
清貴と近くの矢田地蔵尊に行く。オーナーは行こうとした秋人を止める。着物姿の葵ちゃんと歩きたいのやと一言。矢田地蔵尊で、自己犠牲は自分への冒涜という話しになる。
喫茶店でフレッシュの話し。清貴のいけず京男子健在
ビスクドールの涙
葵は清貴から、埼玉から来る友達の京都案内のレクチャーを受ける。八坂神社から清水寺。デートみたいと思う葵は、清貴と一線を引くと決めたことを再認識する。地主神社で恋とは無縁だと言い。私には縁遠い場所だと言う。清貴に対して勘違いしてはだめ。恋ではないと言い聞かす。蔵にいられなくなることが嫌だから。
祇園のカフェで清貴の祖母・椿に会う。椿の家に行く。オーナーが椿に送ったビスクドールの男の子がいた。この頃、ビスクドールが泣いたり移動したりすると言う。清貴は椿の現夫・義男の気持ちを感じ蔵に戻すことにした。蔵には女の子がいる。
バレンタインの夜会
二月、オーナーが清貴が名探偵だと噂を広める。
手が触れ合うと勢いよく手を引っ込める葵に、清貴が、僕が怖いですか?と問う。嫌っていますか?少し触れることも嫌なのか・・・それなら気を付けます。
葵は、蔵が大好き、オーナーも店長もホームズさんも大好きですし、尊敬していると言い握手する。一線を引こうと心がけている自分の態度が悪い印象を与えているのかと反省。
清貴から鑑定用の手袋を貰う。
店長が、バレンタインに吉田山荘で開かれる相笠クリスの朗読会に行って欲しいと頼んできた。清貴は吉田山荘なので了承した。
当日、葵はパイプを咥えたシャーロック・ホームズの横顔のチョコレートを渡す。清貴は言い誕生日プレゼントになったと受け取る。葵は今日が清貴の誕生日だと知った。
集まったのは、クリスの前編集長、高校の同級生が二人、クリスの公式サイトのカメラマンと助手、私立探偵が一人だった。クリスの妹・香奈の「あの日、わたしは殺されました」と言う言葉で始まった。クリスは自殺し、助かったが記憶を無くしていると伝わっていた。清貴と葵以外はクリスの快気祝いだと言われていた。
清貴の、目をみれば何でも判る探偵という噂のため、真相を明らかにして欲しいという頼みだった。クリスは誰かに突き落とされた。クリスには、何故、誰にという疑問があった。
小田は帰った。清貴に、二人と後一人の素行調査を頼まれたかの質問を受けた。
一通り話しを聞いた清貴は、判ったことを話す。相笠クリスの名前の謂れ、同級生三人の名前から文字って付けられたこと、クリスの売れている本の内容は三人の合作から生み出されたものということ。クリスが売れて二人が何かと頼みごとをすること。強請られているように感じたクリスは二人の弱みを調べたこと。クリスが好きになったカメラマン助手・小田を友人が恋人にしたこと。慰めてくれていた編集者・橋本に心を寄せると彼が結婚したこと。小田が設定し用意した場所で、同級生が知られたくないことをほじくりだしてきたクリスが憎くなって突き落としたことを話した。間違いではなかったようだ。
クリスは後に小説にした。
後継者の条件
滝山利休・好江さんの息子・前蔵のアルバイトがフランス留学から帰ってきた。利休は、清貴の信奉者だ。利休が、バイトは辞めて勉強に専念したらと言うのに、清貴は葵を庇う。機嫌が悪いですね。これ以上葵さんに失礼なことをすると許しませんよと微笑む。
利休の父親・桐嶋左京が、利休と共に左京の父親・斉藤右近の家に呼ばれているが、鑑定士を伴うようにと言われているので清貴に一緒に来てもらいたいと言う。清貴は大喜びで了承する。いろいろ有るようなので葵も行くことにした。
途中、今宮神社に寄る。あぶり餅を食べる。
斎藤家に集まったのは、長男の桐嶋左京・デイトレーダー、次男司・鑑定士は田中、円生だった。三男和彦・会計士、鑑定士は藤原慶子。清貴とは知り合いだった。利休の祖父・右京は、場違いの葵を試すことにした。葵は、出された八腕の樂茶碗の陶工を言い当て、それぞれの特徴も言う。右京は葵を認めた。葵は今年に入ってから清貴から樂茶碗のレクチャーを受けていた。
斎藤家にはいろんなお宝があった。その中でもどれが斎藤家にとっての宝かを見極めよ。と右京は三人の息子と孫に言った。
右近は、鏡に写った兄弟だと言った。司は、武士の心を忘れないようにという太刀だと言った。和彦は七宝焼きの壺を選んだ。清貴に腹を立てた司は、清貴に掴みかかる。利休は嫉みややっかみを引き寄せてしまうと言いながら司を勢いよく一本背負いし床に転がせた。利休は清兄は主君だからねと言う。後継者選びの試験はみんな失格だった。
尋ねられた清貴は、太刀だと言った。桔梗紋の太刀は明智光秀の太刀。斎藤家の先祖は斉藤利三なのでしょう。光秀様のおかげの感謝の心、斎藤家における宝でしょう。
そして最後に右京は聞く。一番の価値のあるお宝はどれでしょう?慶子は七宝焼の壺、円生は白磁、清貴は奥の襖絵だと言う。無名だが、俵屋宗達でしょう。涙を堪えるのが大変だったと言った。
右近は清貴に利休を宜しくお願いしますと頭を下げた。清貴は利休を弟のように思っているこれまで通り仲良くさせてもらいたいと。
葵と清貴は、襖絵を見てから帰る。清貴は、円生を挑発する。失敗しましたね。葵は円生が一方的に嫉んでいると思っていたが、清貴も同じような感情を抱いていた。彼の存在が疎ましい。僕にあれだけの才能があったら・・・清貴の呟き。
好きです、清貴さん。葵は自分の気持ちを解放しようと思う。
清貴は今夜は、月がとても奇麗ですねと言う。
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