2024年2月18日日曜日

時代小説傑作選 はなごよみ

時代小説傑作選 はなごよみ 細谷正充編

 吉原桜 中島要 「着物始末暦五 なみだ縮緬」
 綾太郎は、吉原の紅鶴から恋しい人への文を託される。綾太郎は届けようとするが余一に止められる。唐橋の恋話を聞き、花魁の妹分への責任を聞く。恋の始末の仕方を聞いた。弔いのためのふきにいろは柄が使われている百花の打掛。
 綾太郎は紅鶴に言われた通り、開き直って玉に心のうちを語る。互いに焼きもちを焼いていることが分った。
 
 桜の森に花惑う 廣嶋玲子 「妖怪の子預かります3 妖たちの四季」
 ほろ酔い加減の久蔵は、弥助と千弥の後を付け、妖しの庭の桜見に入ってしまった。猫の姫に恋される。現実の世にも、猫の姫は、廻りを許嫁の術をかけ現れる。久蔵は、いっぱいあるお気に入りを猫の姫に見せてあげようと手を取る。

 あじさい 梶よう子 御薬園同心 水上草介 柿のへた」
 嫁を鬼嫁という隠居が、道場の若者に騙され京へ二人で行こうとする。二人の前に立ち塞がった嫁は、隠居を助ける。薬を飲めない嫁が熱を出し寝込んでいることを聞いた草介は、熱冷ましのあじさい茶を届ける。草介は、聞いた勝俣家の献立から、隠居は胃が悪いのだろうと言い、三日に一度の墓参りの話を受けて足腰もさぞやと続ける。嫁は、隠居のことを考えたことをしていた。
 草介は、あじさい茶に解熱作用があることを教えた千歳に、熱を出して寝ていた時にあじさい茶は出されなかったと詰った。
 
 ひとつ涙 浮穴みみ 「蔵前片想い小町日記 めぐり逢うまで」
 札差の娘・まきは七才の時、救ってくれた恩人に恋している。二十三才になった今も独身だ。札差の潰れた家の幼なじみが四年ぶりに現れた。まきに、もう一人の幼なじみ丈二が、昔からまきのことが好きだったことを話す。まきは気がついていなかった。毎年朝顔を枯らす。丈二は明日、話に行くと言う。家に明日花が咲く朝顔が届けられていた。
 
 縁の白菊 諸田玲子 「お鳥見女房 蛍の行方」
 君枝は、菊祭りに行くために、隼人との待ち合わせていた。茶屋の娘・さんに伝言を頼まれた。君枝は行く。お産が始まった。男・与助が産婆を呼びに行き、君枝はお産を手伝う。夕方、赤子が産まれ母親は亡くなった。小袖はよれよれ、襦袢は汗で肌に張り付き、髪はほうけ、顔も汗と涙で汚れていた。そんなところに、さんと隼人が来る。みんなが探し回っていた。次の日、辰吉親分が、与助のもめ事はおさまり、赤子は母親の妹・さんが育てゆくゆくは、与助と所帯を持ち、植木屋をはじめるだろうと知らせてくれた。珠代は、ようやりました。そなたを誇りに思いますと君枝に告げる。母の言葉を聞いた君枝は、母の膝にとりすがり堰を切ったようにしゃくりあげた。
 
 侘助の花 宮部みゆき  「幻色江戸ごよみ」
 質善の隠居・吾兵衛は、碁敵の看板屋の要助に相談される。要助の看板には、侘助の花が描かれていた。理由を聞かれ、一度だけ、火事で別れ別れになった娘が、好きな花だった。娘が生きていると信じている。娘の目に触れれば巡り合うことがあるかもしれないという、嘘の話をした。娘だと言う娘が現れた。ゆきという。誰かの囲われ者のようだ。菓子折りを持って現れる。吾兵衛が会って話をしても、生き別れてやっと会えたんですよ。他人は関係ないでしょう。構わないでという。唐突に現れ、土産を下げて、父親に対するように話しかけ、妹たちに笑いかける。四半刻ほどで「じゃ、またね」と帰って行く。
 三月経ったころ、ゆきの家に行くと、彼女は追い出され、違った若い女が住んでいた。
 


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