2024年2月28日水曜日

すべての神様の十月〈三〉

 すべての神様の十月〈三〉 小路幸也

結ばれたものは 福の神の吉岡と岡橋が、漫画家の大野原顕と小説家の酒井美海と合わし共同で作品作りを奨めようとした。合わせた瞬間縁結びの神が動いた。縁結びの神は人間界に暮していない。会ったことがない。縁結びの神に仕事をさらわれたと二人は思った。

コンビニで恩返し 父が亡くなり、父のコンビニを手伝っていた兄を助けるために弟は、東京から故郷に帰った。弟は彫像家。高校三年の女子に彫像を教える。女の子は猫を彫って持ってきた。兄弟は招き猫にする。彼女は、猫。猫の恩返しでコンビニのために招き猫を置いてきた。 

間に合わせます 神原は、映像を記憶するのが得意。巻き戻しも再生もアップにも出来る。そんな神原が、父危篤の時、不思議なタクシーに乗った。いつの間にか病院に着き、父の死の前に会えた。神原の後輩、鮫島も撮影で使う料理の材料を集めなければならなくなった時、不思議なタクシーに乗った。いつの間にか材料が揃っていた。運転手は同じ、佐藤一郎だった。
 二年後、神原は、佐藤一郎のタクシーに乗った。自分と友人の話をした。佐藤は、自分は韋駄天だと言った。ご馳走の用意はお手の物。そして神原は、八咫烏の末裔だと教えてくれた。映像で覚えて記憶が良い。自由人でしょう。地に縛られず何をするのもどこへ行くのも自由です。神原には覚えがあった。佐藤は末裔は末裔です。家系に色濃く力が出る人が生まれるかもしれない。また教えてあげてください。神様に出会うことがあるかもしれないと。

運が良くても悪くても 木沢は古いバーのマスターに相談にきた。たまたま一緒に暮すようになった潤子という子がいた。その子と住むようになっていろいろ悪いことが起こった。そして母が倒れた。実家に帰っている間に昔馴染みと仲良くなり結婚しようかとかんがえだした。就職し、電話で潤子に別れを言った。そして東京の部屋に帰ると潤子はいない。居た様子もない。そして一年になる。潤子のことが気になってしかたないと話した。マスターは、潤子さんは疫病神だった。疫病神が災いを運んできた。疫病神という神様がプレゼントをくれた。と思えばいいのではないか。
 マスターは道祖神、隣にいたのは潤子さん疫病神。
当たり過ぎる 書道を教えながらボランティアをして生活している農家だった、広い家と土地がある。人捜し、猫探し、剪定、掃除の手伝い。隣の高校の寮生が一人先生の紹介で手伝いに来た。小井戸君は実家に帰らない。小井戸君は、懸賞でもくじでも何でも当たる。そのために父親が働かなくなった。父親に利用されないために家に帰らない。一億と五千万を当てたという。雷獣は、家に雷を落として、その拍子に強運もなくなったと言えばいいと。
 父親は土地を売り、アパートに引っ越し元の会社に戻った。小井戸君も父親と一緒にすむことになった。

気象予報士は雨女 気象予報士をしている私は雨女だ。超能力があるのかと思えるほど雨がふる。それを聞いた後輩の伊勢崎瞬君が、自分の実家に私を誘った。湖の祠の守り人だと言う。湖の露天風呂に入り祠に行く。湖の龍が現れ、久しぶりだと話す。雨女だという土井真里奈だと紹介する。おそらく何百年も昔に、龍神と人の間に生まれた子孫に連なるのだと言う。

方向音痴は治りません 万梨は大学の教育学部で心理学を学んでいる。万梨の彼・二ノ宮凌平の母親がものすごい方向音痴だと言う。万梨は精神科医で心理カウンセラーをしている親戚の大学教授を紹介した。凌平は母の相談に行く。先生は家族の行動記録をつけてほしいと言う。毎日どこへ行って何をしたか。時間ごとに。お父さんと凌平の行動記録を付け、母と妹にも聞いて簡単に聞き取る。十日続けて欲しい。
 母と万梨と凌平で先生を訪ねる。先生は、行動記録を見ながら、母・喜子は、天性の感覚で方違えをしている。生まれながらにして「厄払いの神様」がついているのでしょう。ご先祖に力の強い陰陽師がいる家系かもしれない。物忘れや物理的の事故を喜子の道に迷う方違えで祓って来たんだろう。何も治す必要はないということだった。
 先生も同じ陰陽師の家系、同じ物を持っているとすぐ分った。

座敷童は大人になるのか 柿崎亮太は、父親が意識不明だと警察から電話を貰った。彼女・めぐみも一緒に実家に帰る。二百年以上の古い屋敷の玄関先に松が倒れていた。父親は気がついたが、お手伝いさんが行方不明だった。父親は小松さんは座敷童かもしれないと言う。
 亮太はこの家は自己修復機能があるみたいに思う。九十九神かもしれない。二人は松の木を退け庇の破損を修復した。
 小松さんは現れた。良く気付いてくれましたね。めぐみの髪飾りも九十九神だという。

死神よ来い 死神に恋した夏川麻美。医者になった。小児科医だった。麻美は、親友の奈々子から花井幸夫さんに会ってみない。と言われた。
 風神が飛び込んでき、死神を呼んで解決した幸夫は、死神の幸夫さんに風邪を引いているようだから小児科医に行くように進める。三人の風神も着いて行く。そこの先生は死神が見える先生だから。麻美のクリニックに行く?

地味すぎる あたしは、幼稚園の時からスライムみたいな人が見える。大水で田畑が駄目になった後、作業着で話している二人を見た。おれたちのこと見えてる。土の神様と火の神様だった。自分たちは地味な神様だと愚痴った。
 ほんのちょっと手助けして元の状態にする。
 神様は人間がいるかぎり、望む限りいる。


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