お蔦さんの神楽坂日記 いつもが消えた日 西條奈加
もと芸者で今でも粋なお蔦さんはご近所の人気者だ。
滝本望はそんな祖母と神楽坂で二人暮しをしている。
三学期が始まって間もないある日、同じ中学校に通うサッカー部の彰彦と後輩・金森有斗、幼なじみの洋平が、滝本家を訪れていた。
望と彰彦が有斗を自宅に送り届けた直後、有斗が血相を変えて飛び出してきた。部屋が血だらけで、家の中に、誰もいないと言う。その日から有斗は滝本家に住まう。
家中の血は有斗の家族の者の血と思われていたが、借金の相談にのっていた古谷保と言う男のものだった。
お蔦さんはいろいろな人の話を聞きながら、有斗の家族のいるところを考える。
望の学級担任で、サッカー部顧問でもある小野先生は、有斗のサッカーの上手さを見抜きいろいろ相談にのっていた。
有斗の家には借金があった。毎日借金取り・鹿渡部が来るようなこともあった。借金を一つに纏め世話を焼いてくれたのは古谷だった。が、古谷と小野には、二十年前、鹿渡部と金森 の執拗な借金取りたてのため、父親が自殺に追い込まれ亡くなったという過去があった。古谷は復讐のため金森に近づいていた。小野は手をかしていながら、古谷を止めようともしていた。
古谷は金森の借金を纏めながら二倍に増やし、そのことが鹿渡部の損になるように仕組んだ。そのことを知り金森家に乗り込んだ鹿渡部は、古谷を殺してしまう。遺体の始末を金森家族に手伝わせた鹿渡部、埋めた場所が小野の元別荘に近かったことから、金森家族・父母姉は、鹿渡部のもとから、元別荘に逃げ込む。鹿渡部の知らない台所の地下倉庫に逃げ込んだ三人だったが、探し廻る鹿渡部のために戸に鍵が掛った状態になってしまった。
お蔦さんは、二週間以上になり、有斗の家族が連絡してこないことで、早く見付けなければならないと小野先生に詰め寄る。小野が三人がいるかも知れないと見に行ったのはどこか?と摘める。小野のもと別荘のことを話す。三人は見付かった。
有斗は福岡に転校した。
小野は先生を辞めた。
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