2024年2月22日木曜日

藍染袴お匙帖⑭ 雨のあと

 藍染袴お匙帖⑭ 雨のあと 藤原緋沙子

 ほととぎす 倒れたと呼ばれて行った先には、今度倒れれば危ないと思われる左兵衛がいた。左兵衛は、四年前、女房が働きに出た先の料理屋の板前と駆け落ちしていた。まさに家を出られてから酒を飲むようになった。十三才の息子・与七は、父親と袋物を縫う職人になるつもりだったが、母親を探すために貸本屋になっていた。この瓢箪長屋は、麻疹が流行った時、東湖が診療した長屋だった。一人も死人が出なかったと東湖に感謝していた。

 馬喰町の八百屋の店主・仙吉の妹・なおが川に浮いて見付かった。千鶴は検死を頼まれた。
首の後ろに指跡があり、首の後ろを押さえて水の中に顔を押し付けられ溺死した。それから川に投げ捨てられたと見た。なおは妊娠していた。なおは水茶屋に務めていた。なおには借金があった。なおには、板前をしているという色の白い富蔵という男がいた。

 谷中の感応寺の参道で、与七は富蔵を見付けた。富蔵はまさが働いている屋台の団子屋で、無視するまさから銭を取ろうとしていた。暴力を振るう富蔵に与七は、木刀を振り回した。富蔵はまさの肩に匕首を突き刺した。
 まさは粋楽の所に運ばれ千鶴が手術した。まさは助かった。家を出てすぐ富蔵から逃げたが、長屋には帰れなかった。長屋に帰ろうと言われても、申し訳ない。帰れないというまさ。左兵衛がもう危ないと言われ、まさは長屋へ。もう理解しているのか分らない左兵衛が、謝るまさの言葉を聞いて涙を流し亡くなった。

 なおの殺しを認めない富蔵。千鶴は、富蔵の長屋の瓶の水の中から髪の毛を見付けた。富蔵は捕まった。
 
 桂治療院に、毎日詰めて来てくれる圭之助と、医師助手をしている道が、いい関係になっているようだ。
 
 雨のあと 松井町の遊女屋の「浪速屋」の遊女から遊女の扱いが阿漕だと相談を受け、元遊女・現金貸しのつねは、浪速屋に談判に行く。男衆に殴る蹴るの暴力を受けたつねは、簪をれんの肩に突き立てた。ちょうど来合わせた同心・浦島亀之助が、つねを捕まえた。番屋で治療をした千鶴。腕の骨が折れ、時間が経てばますます酷くなるかもしれないと言う。
つねは大番屋に送られたが、相手には何らお調べも無いという。
 大番屋へ治療に行った千鶴は、つねに伏見屋という呉服屋の七之助19才が、元気で暮しているか確かめて欲しいと頼まれた。七之助はいなかった。七之助はつねの息子だった。生まれてすぐ伏見屋の前に置いた。伏見屋の主は、つねの客だった。伏見屋には子供がいなかった。五年後に子供が産まれた。七之助は、山口泰安という医師のところに行った。
 
 泰安は良い医者だったが、紀州家の出入り医者で、良くない者に利用されていた。泰安が殺された。泰安が最後に行ったのは旗本木島家だった。木島左門。泰安を詐欺の手先に使ったのは木島左門だった。遊女屋浪速屋の主も木島左門だった。
左門一行が屋敷から出た。浦島は捕まえようとする。千鶴も助ける。左門を倒し、詮議を受け罪を償えと言ったのは求馬だった。

 根無し草だという七之助に千鶴は、つねのことを伝える。つねが大番屋から出る時、七之助は、おっかさんと迎えに行った。

 
 

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