ビブリア古書堂の事件手帳〈Ⅱ〉 三上延
〜扉子と空白の時〜
プロローグ 篠川扉子は、祖母・篠川智恵子に頼まれて、父の日記のような本・「マイブックー2012年の記録ー」と「マイブックー2021年の記録ー」を持って和田塚駅近くのブックカフェに来た。このカフェは、扉子の少ない友人・戸山圭の家だった。
横溝正史『雪割草』Ⅰ この世に存在しないはずの本が盗まれたという依頼だった。雪割草は、横溝正史の新聞に掲載された小説だった。上島笑子夫婦が新潟にいる頃の地方紙の新聞小説を切抜いて溜めたものを本に装丁したものだった。栞子は仲が悪い双子姉妹の協力で盗んだものと暴いた。二人はこの本を読む時間が欲しいくて盗んだ。二人の仲が良くなったように見えたが、本の付録、正史直筆の原稿が無くなっていた。その後二人は和解しなかった。
この事件後 栞子の妊娠が判明する。
横溝正史『獄門島』 学校の感想文コンクールに扉子は「獄門島』を選んだ。学校の先生から電話が入った。扉子は小学三年生。扉子はもぐら堂で『獄門島』を取り置きしていると言う。扉子が本を取りに行くと本が無くなっていた。大輔と扉子は話を聞き、買ったのは店主の妻だと分った。妻の置いた所に本は無かった。読んでいたのは娘・戸山圭だった。
少年少女シリーズ、三千円ではなく三万円だが、戸山は言わなかった。
圭が本を貸して欲しいとやってきた。扉子は感想文を書くので貸せないから、家で読んでと二人で部屋に行く。扉子に友達が出来た。
横溝正史「雪割草」Ⅱ 雪割草が七十七年を経て単行本になった。
上島初子・仲が悪い双子姉妹の一人が亡くなった。遺言で蔵書はビブリア子書堂に売ってと。
双子の姉妹は二人とも亡くなっていた。蔵書整理をしていると直筆原稿と思えるものが七枚出てきた。全部偽物だった。
九年前、直筆原稿を盗んだのは初子の孫の井浦創太だった。初子が、死ぬ前に創太は、初子が盗んでいたと乙彦に返していた。栞子ははっきり盗んだのは創太だと言った。興味がないという創太に、栞子は裏を見せる。裏には獄門島の文章があった。創太は乙彦のコレクションを相続したいため協力している。九年前のことは何も証拠がない。あの原稿が無くなったことで完全に家族、親戚関係が崩壊した。今は許せない。九年経てばまた変わるかもしれない。創太が変わっていれば連れて来てほしいと乙彦は言った。
エピローグ 智恵子が現れた。読んでしまった?扉子は何かを気付いてほしいのでしょう。雪割草の自装丁の鑑定をして直筆原稿を売ったのはおばあちゃんでしょう。売ったのはお金ではなく雪割草を読ませて貰うこと。扉子は直筆原稿は本物かと聞いた。答えないまま帰った。
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