うぽっぽ同心十手綴り⑥ 病み蛍 坂岡真
瓜二つ 妊婦が大八車に轢かれたという凶事を耳にし駆けつけた長尾勘兵衛。そこで自分と顔も姿も瓜二つの同心・占部と知り合う。瓜を買い占め御値をつり上げている悪党どもと憤慨す占部。息巻く占部を応援したくなる。
大八車の持ち主・鳴子屋が大量の瓜を捨てている現場を見付けた。鳴子屋に協力する与力・須藤式部。同心・佐々木次郎。占部は鳴子屋から金を出させ全てを殺しに掛かった。勘兵衛と向かい合った時、自死した。占部は、娘の縁談をまとめるため金を出した。相手に心変わりされ、相手を殺した。縁談を得るため金が欲しかった。が・・・。
病み蛍 芸子・小菊が殺される。殺したことに耐えられない小梅が自死した。小梅は七年前、岡っ引き源七に傷を負わせ逃げた伊佐三だった。小菊の贔屓近江屋の隠し金の在りかを聞き出した伊佐三は、小梅に小菊を殺すよう命令された。
源七は岡っ引きをひいたが、伊佐三を追いかけていた。近江屋の妾宅に忍んだ伊佐三を捕まえようとして源七は殺された。やってきた勘兵衛は伊佐三を捕まえる。
源七の娘に、閻魔長屋の木戸番の助の仕事が決まった。
むくげの花 勘兵衛は、元秋田藩の砂留役の牛島と知り合った。牛島は秋田藩の次席家老の娘を嫁にしていたが、横領の科で秋田藩から追われていた。牛島は嫁は、養女で、息子・寅之介は家老の子、横領は家老のしていたことで、嫁は、牛島に申し訳ないと自死していた。秋田藩は、牛島と一緒にいた娘を勾引かした。勘兵衛は、二人を返して貰う談判をする。根岸のお墨付きがあれば返すという。勘兵衛は、お墨付きを貰い二人を返して貰った。牛島は、果し状を送る。気が付いた勘兵衛と鯉四郎は助太刀に行く。藩士三十人も連れて弓矢まで用意されていた。牛島は本懐を遂げた。根岸は牛島に砂防役を頼んだ。
不動詣で 鯉四郎の祖母・志穂は、物忘れが酷くなっている。綾乃は、志穂の様子を見に度々出かけた。三日に一度、夜明け前に散歩に行く。通り道に男女の心中を装った殺しがあった。男は菊細工で優勝した男だった。
志穂が襲われ助けた綾乃が斬られた。
菊細工事件を調べていくとかんじょう勘定奉行・佐原式部正の名が出、蜜月の交わりの木曽屋が浮かぶ。鯉四郎の父親を罠に嵌めた人物たちだった。
志穂の後を付け、木曽屋と川路の抜け荷を見付ける。
鯉四郎は一人で乗り込む。勘兵衛は、川路の元道場へ、捕り方を要請し急ぐ。棺桶で運ばれた鯉四郎を助け、川路を捕まえた。
翌朝、日本橋の晒し場に、奸賊なり、の捨札が立ち、棺桶に御禁制の人参と勘定奉行佐原と木曽屋が入れられていた。
志穂は勘兵衛に礼を言い、息子の雑記帳を燃やした。勘兵衛は、綾乃を鯉四郎の嫁にすると約束した。
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