2024年4月30日火曜日

新・酔いどれ小籐次〈二十六〉 恋か隠居か 

 新・酔いどれ小籐次〈二十六〉 恋か隠居か 佐伯泰英

 江戸・三十間堀の小さな町道場が、怪しい証文を盾にした兄弟から狙われている。道場主と孫娘の愛を救うため、十八才の駿太郎は、入門する。

  浪人たちに無体を仕掛けられていた旗本片桐家の姫様たちを助けた。翌朝、望外川荘近くに抱き屋敷がある片桐家の殿様と姫・麗衣子14才が、礼に来た。

 天保二年大晦日、雪が降る中、久慈屋の店先に三千両も頂戴しようかという押し込み強盗が現れる。駿太郎が相手をして事無きを得た。

 雪の正月、練習場がないため、駿太郎は、越後長岡藩牧野家抱き屋敷の道場で稽古させて貰う。 

 加古道場を乗っ取ろうとする夢想谷三兄弟が現れる。加古愛と駿太郎が相手をし、三兄弟破れる。

 天保三年秋、奉行所、火盗改が鼠小僧次郎吉の捕縛に力を注いでいた。本物の次郎吉は何年も前から盗人家業を停止して望外川荘で子次郎という本名で男衆をしていた。六人の自称鼠小僧が捕まった。五月に捕まった盗人を調べると武家屋敷で女中に悪さをし、商家で盗みをしていた。近ごろ鼠小僧と称した者だった。真の悪党、鼠小僧次郎吉は市中引き回し、本名知れずとしてさらし首になる。他の自称次郎吉は、江戸所払いと四人は遠島になった。
 不満に思うことがあるかも知れぬが、幕閣がこれを了承した。評定所が談義し、鼠小僧次郎吉の始末が決まった。次郎吉は下劣な悪党だ。子次郎、世間にいい顔を見せたいか。向後、子次郎がどう生きるかが大事なことだと小籐次は説いた。
 

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