芋洗河岸〈2〉用心棒稼業 佐伯泰英
小此木善次郎は、初詣で賑わう神田明神で、宮司たちが千両を強請られるところに行き合う。乱暴な御成街道の忠造親分と浪人をやっつけた。神田明神の守護人に認められた。
善次郎は、青柳道場の具足開で、陰流苗木と夢想流抜刀技を披露した。野中一之亟は、善次郎の父親を知っていた。
善次郎は、一口長屋の女房五人と子供三人が、船宿で朝食を取り芝居見物後、食事を食して帰る猪牙船で往復する楽しみを用意した。芝居は団十郎の助六。善次郎は木戸札を取るために中村勘三郎頭取が、五百両を脅し取られることを阻止した。勘三郎は、斬った男を奉行所の同心が斬ったことにして納めるために百両だした。善次郎は五十両を貰った。越後屋の帳面に付けられた。
この事件で、北町定町廻り同心・矢部内蔵助と、親仁橋の御用聞き三郎次を知った。
矢野は、盗賊の残した文の中に一口長屋が出てくることに不信を覚え調べていた。調べを止めるよう脅されたり、最後には、奉行命令で止められたことを一口長屋に住む善次郎に伝えた。陰の御仁という言葉で表すこともあった。
矢部が斬られて川に浮いた。
越後屋の、定火消・松平五千七百石からの呼び出しに付き添う。新たな借財の要求と思われるが、返す気のない松平家にもう貸す気はない。聞いていた善次郎は、高飛車に出、馬に乗ろうとした采女が、ひっくり返って気絶している間に定火消の羽織を脱がし、持ち帰った。知れれば切腹の松平家に取りに来させた。返されたことの受け取り状を取り、もう貸さなくても大丈夫になった。
善次郎は矢野の事件の根本の四条屋へ連れていってもらった。押し込み時に殺された呼び込み松五郎の殺された場所で、善次郎は、地下への入口を見付ける。地下一杯の水が少しずつ減り、一夜を明かした時、現れたのは金色の仏像とその前に並べられた慶長大判二千枚だった。善次郎は越後屋に知らせ、北町の内与力に知らせる。
金は公儀勘定方と北町に割り当てられ、仏像は神田明神に寄付された。
0 件のコメント:
コメントを投稿