2024年9月7日土曜日

武士の流儀〈十〉

武士の流儀〈十〉 稲葉稔 

 用心棒 太物問屋の主の後添えに脅迫状が届く。北町吟味方与力・大杉勘之助に頼まれ清兵衛は用心棒をすることになる。
 犯人は番頭だった。主は誰にも言わず番頭を辞めさせて納めた。

 兄弟 安江は、紙問屋の奉公人・松と知り合う。親に勘当され妹の松に金をせびりにくる兄がいると言う。兄・伊兵衛は、金貸しから金を借り松を渡さなければならないところまで追い込まれたという。安江は、清兵衛に相談する。松の実家は大工の頭領だが、長男の伊兵衛は、職人の見習いに出ても長続きしない。商売を始めてもすぐにだめにる。両親には勘当され、
妹の兼にもずいぶん無心し、見放され、頼れるのは松しかいなかった。清兵衛は、親・吉蔵に話し、金貸しのところに行った。八両の借りが十五両になっていた。九両で話を付け、吉蔵が払った。清兵衛は、吉蔵に伊兵衛を頼むと頭を下げた。

 ほだされて 高橋勝之丞は、国許から参勤交代で江戸に来て心が踊った。中屋敷に住み、気楽だった。駒に出会い駒の虜になった。三十俵四人扶持なのに百石取りと言ってしまった。駒にお金を使うため、高橋は、通りすがりの町人に恐喝を働いた。
 清兵衛は 岡っ引きの東吉に手代や女中から六両を脅し取った事件を調べてほしいと頼まれた。東吉は清兵衛が元与力ということを知らない。清兵衛は調べ始めた。女の家に出入りする勤番侍に目を付ける。侍が弱そうな手代をを脅す現場に現れ捕まえる。話を聞き、女の正体を話、もうしない事を約束させる。脅し取った店で、脅し取った金額の倍の金額の物を買うことを約束させる。
 東吉には、やっぱり難しい手に負えないと話した。

 家出娘  秀の家は南品川の旅館兼仕出屋で両親と兄と姉が手伝っている。秀は疎外感を味わい家を出る。安とりょうという娘たちと出会い行動を共にする。二人は空家に寝泊まりし、盗みをしているようだった。清兵衛は、安くしておくと安に声を掛けられ三人を知る。清兵衛は三人を調べる。りょうが安のお金を盗んだ。二人の言い争いに近所の人が気付き三人は逃げる。秀は逸れた。清兵衛と会った。清兵衛は、秀の話を聞き、家族は忙しいから秀をかまえなかったのだと思った。秀と話、南品川に一緒に行く。二人の話はしないことを約束させ、自分が味方になることを言い聞かせ両親の元に連れて行った。秀が家を出て一か月が経っていた。
 家族は秀が帰ってきたことを喜んだ。清兵衛は、安江という女が何も聞かないで寝泊まりさせていたと話した。秀はありがとうと言った。

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