2022年1月10日月曜日

藤沢周平全集 第二十一巻

 藤沢周平全集 第二十一巻 藤沢周平

  三屋清左衛門残日録 
 清左衛門は御小納戸の見習いから用人まで務め、先代藩主の葬儀、法事の後、隠居願いを出す。一年は残務整理、後任の教育を続け隠居した。52才。家督二百七十石は息子・又四郎が継ぎ、屋敷もそのまま、隠居部屋も普請組に建ててもらう。三年前に妻・喜和死去。
 道場に通い、保科塾に通い論語を学び、幼馴染と関わりをもちながら暮らす。
 藩主の願いで現政権の手助けをし、遠藤派に対抗する朝田派の争いに巻き込まれる。
 藩主の弟を利用した軍資金の調達、藩主の弟の毒殺、手を下した者の抹殺、それらを知った清左衛門等の抹殺と事件の隠蔽を阻止し、朝田派は失脚した。


  秘太刀馬の骨
 近習頭取・浅沼半十郎は、家老・小出帯刀に呼び出され、甥の石橋銀次郎が「馬の骨」を使う者を探索する手伝いを頼まれる。六年前の家老・望月四郎右衛門の暗殺に使われた技が「馬の骨」だった。馬の骨は矢野家・不伝流の秘太刀だった。
 銀次郎は矢野家の跡取りから、高弟と呼ばれた五人と対戦する。弱みをアラを探し、脅しを掛けて対戦に持ち来む。誰からも見付からなかった。
 半十郎の、小出への心証が悪くなり出す。
 江戸の藩主の側用人・石渡新三郎が藩主よりひと足早く国入りした。石渡が小出の客分に殺されそうになる。見付からなくて伯父の妾と逃げようとした銀次郎が殺されそうになり半十郎の家に怪我をして逃げ込んだ。銀次郎は伯父・小出帯刀の後ろ暗い行いを暴露する。
 六年前の望月の暗殺は誰か判らないが、暗殺されるように仕組んだのは小出だった。望月の賄賂の証言者だった商人が、石出の賄賂だったことを証言した。その商人を殺そうとした石出と刺殺者・赤松織衛を阻止し、石出を刺し、赤松を倒したのは「馬の骨」だった。半十郎と孫之丞は、矢野家当主・藤蔵を見たが、二人は秘事とした。石出が証人を抹殺に動く時、暗殺すべしの密命があったのだろう。石渡を通して殿からだった。


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