海坂藩大全下 藤沢周平
梅香る 志津は婚約を破棄され保科と結婚した。婚約破棄の理由も知らず、結婚も納得がいかない。怪我で男の機能を失った元婚約者の推薦の男が保科だった。
泣くな、けい 妻・麻乃が亡くなってから、城からの預かり物の刀が無くなったことが明らかになった。麻乃の手で持ち出され商家の手に渡り、隣藩の武士の手に渡っていた。相良波十郎は謹慎になるので女中のけいに武士との交渉を頼んだ。一ヶ月経ち江戸まで行き刀を返してもらってきた。けいを嫁にした。
泣く母 伊庭小四郎は生まれる前に父を亡くし、生まれてすぐ母は婚家を出、再婚した。道場に弟が入り、苛める兄弟子と木刀で試合をすることになった。小四郎は先に行き刀で戦う。怪我をした所に母が駆け付け、弟のために・・・と泣くが、小四郎は、母の為に・・と言う言葉を飲み込んだ。
山桜 野江は一人目の夫は死に、再嫁したが家風に馴染めない。手塚弥一郎が自分のことを気に掛けていてくれたことを知った。弥一郎が奸物を刺殺した。獄舎に入った。野江は離婚される。母一人になった手塚けを訪れる。
報復 柚木邦之助は次席家老・柘植の公金不正流用を直訴し、切腹と言う形で帰ってきた。下男の松平は下男を辞め、植木屋になり柘植の殿様に献上する梅の木を斧で切り倒す。
切腹 二十年疎遠になっていた友・甚左が切腹した。と同時に使い込みなど不正を働いたと言う噂が流れた。助太夫は調べ、大目付に訴えた。証拠がいると追い返される。帰り、刺客が出る。殺したもの傷つけたもの家老のけらいだった。それが証拠になり家老は閉門になり甚左の濡れ衣は晴らせた。
花のあと 以登は江口孫四郎と剣の対決をし、恋する。以登には許嫁がいた。江口にも養子話しが有り結婚する。江口の嫁・加世は藤井勘解由と不倫していた。奏者番になっていた江口は藤井の刺しがねで御役を失敗し、切腹する。以登は許嫁片桐才助の手を借り、藤井を殺す。
鷦鷯 母が病気で婚期が遅れた品は金を借りている石塚家から息子・孫四郎の嫁にと言う話しが舞い込む。新左衛門は金で娘を売るような、息子の軽口も不快だった。近所で刀を振り回す輩が出た時、討っ手として孫四郎が現れ、きっちりかたずけた。ちょっと気に入った。
岡安家の犬 家の飼い犬を友達たちに犬鍋にされた甚之丞22才は刀を抜きそうになる。止められ、金之助に絶交を言い渡し、妹・八寿との婚約も破棄するという。金之助は他の男の八寿の縁談を壊し、二ヶ月かけ赤犬を探してきた。
静かな木 布施孫左衛門は養子に行った次男が鳥飼勝弥と果たし合いをすることになった。孫左衛門は辞めさせるために、鳥飼の旧悪から現在の公金着服まで明らかにすると脅しを掛ける。事件がきっかけで政権が交代した。鳥飼中老の収賄疑獄が摘発された。
偉丈夫 偉丈夫だがのみの心臓の片桐権兵衛は隣藩との境界についての百年来の話し合いに行くことになった。無口な権兵衛は藩祖の遺言の意志をん曲げるのなら一戦も辞さぬと言ったためか、不毛の論争は本年で打ち切りにすると申し入れがあって片づいた。
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