2018年4月10日火曜日

思い出のとき修理します4

思い出のとき修理します4 永久時計を胸に 谷瑞恵
 昼と夜のエタニティ 明里の店のお客さん・甲原和歌子は悩みを抱えていた。飯田時計店に壊れていないペアウォッチを持ち込んでいた。ペアウォッチの持ち主和歌子の両親は離婚するという。和歌子の彼は結婚を伸ばそうという。彼・亮平の持ち物壊れた日時計のような者を秀司に預ける。修理し夜の時計・ノクターナルだと知らせる。昔の心に引っかかる物を清算した亮平はノクターナルを和歌子に渡すつもりのようだ。
 和歌子の父親は今、家庭菜園をしているが、仕事を辞めて農村に移住したいと言う。母は自分の料理教室をもっと広げたいと思っていた。和歌ちゃんは小学校の時にも不仲になった両親を心配してペアウォッチを飯田時計店に持ち込んでいた。秀司の祖父は二人の結婚記念の日付けの下に和歌子の名前と誕生日を入れた。父親はどんな農業をしたいか判ってきた。母親は夫の作る野菜の御陰で料理の微妙な味や香りがでたことを知っている。二人は仲直りしたようだ。
 幸運のタイムカプセル 津雲神社通り商店街に、すごい人気の大判焼きの安西商店があった。奥さんが亡くなり店をたたんだ。空き家になっていたところに馬部真一が住み始めた。馬部は昔埋めたタイムカプセルから人形と栞を取り出し、安西さんの家で壊わした人形と栞を返し誤り教えてあげると言われた大判焼きの焼き方を教えてもらうつもりだった。安西さんが奥さんから言われていたタイムカプセルを探していた。秀司にはタイムカプセルが判った。奥さんと文通していたのは安西さんの同僚だった。安西さんは同僚の代わりに手紙を返しに行って間違われたまま結婚した。奥さんは結婚祝いに送られてきた陶器の人形が壊れた時、栞が入っているのを見付け気がついていた。安西さんは騙していたことに気が引けていた。
秀司の祖父が作った時計の隠し箱の中には栞・跡継ぎに良縁ありのおみくじが入っていた。
 パートナーのしるし 明里は秀司の家に行った。お母さんはまた二人で来てねとささやいた。明里は秀司は思い出を修理出来るのだと言った。きっかけが不思議と見付かる。そういうものに気付かせてくれる、と言った。お母さんは、お母さんの父親のものだった壊れた懐中時計を二つ預かった。秀司のことお願いねと言われて。
 秀司のところにスイスから誘いが来ていた。修理が必要なアンティークな時計と共に。
 馬部さんは大判焼きの練習を始めた。同じようにしていても何か違った。秀司が器械を見て安西さんの癖を見付ける。馬部はそれがヒントになって安西さんの使っていた器具を思い出す。また試作が始まる。
 秀司は古い写真を見、話しを聞き、どちらが祖父の懐中時計か見極めた。母を呼ぶ。祖父は鉄道の運転士、祖母は駅弁を売る仕出屋の娘だった。鉄道の時計を融通してもらった祖母の時計だろう。おじいさんに見初められて結婚した。時計の傷をみて判ったことだった。部品を取ることをしないで二つの時計は動き出した。
明里はお母さんに秀司を引き止められないかも知れないと言う。
秀司はスイスに行くことは、二人が別れる事だと思っている。時計に夢中になる。他の事に気が回らなくなる。待たせる方は平気でも待つ方は簡単じゃない。恋人が去って行くあんな思いはしたくないと思っている。別れたくないからスイスへ行かない。
明里は秀司が明里のためにスイスへ行くのをあきらめたらいつか自分のことを嫌いになるのではないかと思う。秀司はアンティークの時計を直せないとは思っていない。秀司の背を押していた。
 秀司の作った時計が仕上がった。ドレスウォッチ。結婚して明里は津雲神社通り商店街で待つことにした。秀司が飯田時計店へ帰ってくるまで。

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