2018年4月3日火曜日

思い出のとき修理します2

思い出のとき修理します2 明日を動かす歯車 谷瑞恵
 きみのために鐘は鳴る 津雲神社通り商店街のヘアーサロン由井に住んでいる明里の所に、年の離れた異父妹・香奈が来た。姉妹というが馴染み薄い二人だった。
 香奈は、自分と境遇が似ている顔も知らない異母姉からの遺品の預かり証を持った人から預かり証を渡される。預かり証は明里の恋人・飯田秀司の店の修理時計の預かり証だった。「思い出の時 修理します」のプレートがある。
 遠藤克彦が娘・みどりに贈った遺品がみどりが亡くなり妹・市川菫に贈られた。菫は愛人のの娘だった。姉とは会ったこともないと思っていたが、新月の夜の神社の森で明里と話していて話しかけてくれた知らないお姉さんを思い出す。母親が亡くなり連れてこられた父親の所を飛び出し迷子になった後だ。それがみどりだった。馴染まなかった父親から離れ、母親と住んでいた店の夫婦の養子になった。秀司が預かっていた時計を鳴らす。音を聞き菫が思い出した。菫は時計を引き取った。
 逸れた香奈を探して菫の話を聞いていると、香奈とのことが思い出される。
 赤いベリーの約束 明里は仁科なのだが、ヘアーサロン由井にいるため由井さんと呼ばれる。フルーツ屋宝果堂の夫婦・保と葉子は幼馴染みだった。男二人と女一人の仲良しで高校のころ、奥さん・葉子と医者になった光一と付き合っていたこともあった。親から結婚させられそうになった時、光一は葉子と海外への駆け落ちに誘った。落ち合う場所に来なかった光一の代わりに来たのは保だった。葉子と保は結婚した。お互い気持ちを確かめないまま結婚したためか夫婦喧嘩が耐えない。葉子が一方的に捲し上げ出て行く。二三日で帰ってくるパターンだったが今回は違った。葉子のお腹に子どもがいた。病院で面会謝絶の若本光一のプレートを見て、二人が昔からの思いを打ち明ける。光一はブラジルで交通事故に遭って意識不明だった。秀司の所に預けられたラズベリーのトールペイントの時計と思われていた時計をイチゴの時計に変えて修理する。
 明里は秀司に対して少し自分を出せるようになったかな。
 夢の化石 明里はお酒に酔って先輩・中島弘樹に送られて帰って来た。明里が朝気がつくと秀司の所で寝ていた。自分で二階に上がり着替えを借り、普通に動いたり話したりしてたと言うが明里は何も覚えていない。太一が、秀司が時計を直せなかったらただで髪を切る約束をしたと教えてくれた。先輩・中島が持ってきた時計は石の時計だった。中島が中学の時に落とした物を三日後にみつけたら石になっていたという。明里が先輩の話しをして怒るのは無理ないと言うと、秀司は妬いているのだと言う。
 中島は中学の陸上のライバルにブレーキが壊れている自転車を貸した。ライバルは怪我をして入院した。見舞いに行った中島の県大会で優勝した時に買って貰った時計をわざと落として壊した。おあいこだと言った。中島は陸上をやめた。その壊れた時計・クロノグラフを投げ捨て、探しに行くと石になっていたのだった。
 秀司の所へスピードマスターの修理を頼みにきた人・新見がいた。秀司は石の時計を見せて返す気はないかと尋ねた。新見は十五年前、中島が投げた時計を拾い時計を修理して売ってしまった。中島が時計を探しているのを見て、石材店に勤める新見は石に時計を彫って置いた。
 秀司は中島の時計を見た時、新見が彫った物だと思った。新見が了承したので、中島に修理が出来たとスピードマスターを渡した。
 未来を開く鍵 秀司が明里のために作っているドレスウォッチのベルトを頼んだ岸本沙耶が、落雷に遭い所々記憶がとんでいる。同時に落雷に遭った沙耶の母だと思われていた人は森村千佳代だったが沙耶よりも記憶が無かった。沙耶の物だと思われていた鍵は、千佳代が任されていた家の時計のゼンマイを巻く鍵だった。森村夫婦が昔の話をしている。忘れたことを話しているようにも見えるが二人が思い出を修復しているようだ。
 
 

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