2018年4月1日日曜日

風の市兵衛(弐) 暁天の志

風の市兵衛(弐)㉑ 暁天の志 辻堂魁
 唐木市兵衛は、四十才になった。宰領屋の矢藤太の仲介で青物御納屋役所で働いている。
 兄・公儀目付け家禄千五百石・片岡信正55の妻・佐波に去年一子信之助が生まれた。
 小人目付け・返弥陀之介の妻・青がこの春の末に女児を産んだ。
 市兵衛が定客だった一膳飯屋『喜楽亭』のおやじが、川開き後突然亡くなり、喜楽亭は閉じた。
 犬の居候は渋井が引き取った。渋井の別れた妻・藤との子・良一郎17才は家業の扇子問屋の修行に身を入れず、岡っ引き・文六に付いていた。
 市兵衛は、父親・信夫平八と子ども二人・兄が小弥太6、妹が織江4の浪人家族と知り合う。
 夏の終わり、市兵衛の所に吉野金峯山寺蔵王堂の配下・大峰奥駈の山伏・猿浄が来る。市兵衛の母・市枝の母・唐木忠左衛門の妻・梢花は吉野の惣年寄役地下老分・村尾家の女だった。猿浄は吉野に来いと伝えるという命令を果たした。母のことを何も知らない市兵衛は吉野に行く。
 秋七月、市兵衛は吉野にいた。百二十才になる村尾家の大婆さまに、仏師・唐木忠左衛門28と村尾家の娘・梢花18が駆け落ちしたことを聞く。兄の話と照らし合わせる。忠左衛門は江戸に出て剣友・片岡賢斎の家の足軽になった。梢花は市枝を産み、22才で亡くなった。
大峰道で市兵衛は忠左衛門と話した。そのまま生きればよいといわれる。
 秋が深まった頃、江戸に帰った市兵衛は文吉親分を助けて、殺しを依頼され請負い人を殺害する組織潰す。殺しを請け負っていたのは信夫平八だった。猿浄も市兵衛に会ったあと殺されていた。市兵衛は平八を倒す。南町は元締め多見蔵を逃した。
 市兵衛は小弥太と織江と一緒に住むことにした。平八は通りで血を吐いて死んだことになっている。
 
 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿