街の灯 北村薫
花村家は相模の士族・家老・爵位は無い。叔母は子爵に嫁つぐ。パパは財閥系列の商事会社の社長。兄は雅吉
虚栄の市 花村栄子は級友・伯爵令嬢・有川八重子の家の雛の宴の招かれ、どこかの若者がヴァニティ・フェアと言ったことでサッカレーの書いた虚栄の市を読んだ。家の運転手が代わり別宮みつ子が第二運転手になった。栄子の送り迎えをする。栄子は虚栄の市の主人公の名を借り、ベッキーさんと呼ぶことにする。ベッキーさんは門前に屯する刀を持つ壮士をやっつけた。
穴を掘り中で毒死した死体が見付かった。同じ頃、同じ下宿に住む男の溺死体が見付かった。栄子はベッキーが貸してくれた江戸川乱歩の「屋根裏の散歩者」を読んで二つの事件の謎解きをする。松子叔母の夫・子爵弓原太郎検事・探偵小説家に話した。警察が行くと、溺死した男の妻が全て話したと叔父から電話を受けた。
銀座八丁目 栄子と雅吉は服部時計店のビルに上がり、時計の内部を見学する。後でベッキーから私は裏が見たかったと聞く。裏にも時計が付いていたと話す。
級友の桐原道子・桐原公爵の次女から長女・麗子の手紙を渡される。麗子を栄子の家の車で送る。公爵邸で出会った兄・桐原勝久大尉はベッキーさんに興味を持つ。別の日に招待されベッキーの射撃の腕前を披露させられる。知らなかった栄子は驚く。
兄の友達が品物を次々と送って来て、謎が解ければ日曜日に会おうと言ってきた。栄子は銀座の夜市に連れていって貰い、謎を解く。栄子は次にはこれが来るとアイヌの民芸品を兄井に渡す。日曜日に兄は朝飯前だと友達に会い、一緒に行った栄子にはご褒美に千疋屋のピーチシャーベットをご馳走した。
街の灯 軽井沢に避暑に行く。叔父と栄子は、自作映画の鑑賞会に誘われ、新興財閥瓜生家の別荘に行く。跡取り息子豹太の趣味だった。お嫁に行くと噂の道子もいた。映画の途中に塒を巻いた蛇の映像が入り、銅鑼を鳴らされ驚くと同時に家庭教師の井関さんが心臓発作で亡くなった。叔父が後の処理をした。栄子は叔父と自分が証人にされたと思った。井関さんはもっと前に亡くなっていたのではないかと考えた栄子は、道子を誘い出す。道子は全てを知っていた。豹太が追いかけ井関が倒れて亡くなっていた。道子は映画で蛇を見せ驚かせて事故で亡くなったことにすり替えた。せめて親兄弟に十二分にお詫びをするよう約束させた。服を借りた子ども・きのこ売りの子は瓜生の家で書生をしている。
道子は瓜生と結婚するつもりだ。道子は言う。チャップリンの街の灯の最後、この男が実は自分を救ってくれた人だと気付く。道子はバージニアの顔にいいようのない嫌悪と憎しみの色がうかぶのを見た。私の心を観た。私が会うのは全て駄馬。良いものをみても同じ、良いものから見れば私は駄馬。そして令嬢にもどった。
秋、道子さんに桐原邸に誘われ、街の灯の最後の場面の観賞会があった。由里岡子爵の息子がサキソホーンを吹く。最後道子は画面そ扇風機で揺らした。
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