2020年12月3日木曜日

風の市兵衛 弐㉗ 残照の剣

風の市兵衛 弐㉗ 残照の剣 辻堂魁

 唐木市兵衛は、大店両替商「近江屋」から、蟄居謹慎のお咎めを受けている川越藩勘定方の村山永正が改易になれば、永正と家族を江戸に連れてきて欲しいという依頼を受けた。

 近江屋の若主人と母親は二十五年前に川越藩で上意討ちになり改易になった堤連三郎の家族だった。上意討ちに合い、傷を負った連三郎を助け、家族を江戸の商家に預けたのも村山永正だった。連三郎は家族と一緒に暮らすこともなく人足として働き一生を終えた。家族は近江屋の妻・季枝となり若主人・隆明となった。連三郎の死を知らされた季枝は、村山の現状も知った。川越藩・松平大和守は、転封を希望していた。そのために家斉の息子を養子にしたいと借用金を増やしていた。村上はそんな藩主に意見を言い、不興を買い蟄居閉門となっていた。

季枝は昔の恩を返すべく市兵衛に頼んだ。

市兵衛と宰領屋の矢籐太が川越に行く。娘・早菜と話しをする。謹慎が解けた村山は城で上意討ちに合う。大怪我を負って帰った永正は、得度を受け亡くなる。早菜を連れ江戸へ帰る。

追う必要はないという藩の命令に従わない横目たちが立ち塞がる。堤連三郎を上意討ちしようとした菅留吉等だった。市兵衛が倒し、江戸へ行く。

 北町奉行所定町廻りの渋井鬼三次は、息子・良一郎が五才の時、離婚し良一郎は母親・藤が引き取った。藤は良一郎が八才の時、老舗扇子問屋伊藤屋に再縁した。良一郎は伊藤屋の跡取りと決まっていたが、良一郎は渋井の跡取りになりたいと言い始めた。渋井は伊藤屋の文八郎に相談する。文八郎は夏が終わるまでの猶予を願う。

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