長屋道場騒動記〈八〉 迷い熊笑う 芝村凉也
十河藩は、前藩主の隠し子・耕太郎の娘と思われている恵比寿屋の娘・君の取り込みを失敗っている。三嶽藩主の四男・頴志郎は十河藩に養子に行くつもりになっていたが、娘が現れ破談になることが許せない。恵比寿屋の君を見に行き、十河藩に君との婚姻を申し込む。大名と大名の婚姻となれば、千葉英次郎も手出しが出来ず、生馬たちは困ってしまう。
耕太郎の隠居所で働いていた女中が見つかった。耕太郎の隠居所が武士団に襲われ、用人と奥女中の関夫婦が殺され、残った女の子が君だと判った。君が用人夫婦の子だと奉行所の記録に残し、藩主の血縁でないことがわかり収まった。収まらない三嶽藩の頴志郎は千葉道場に出入りする者を襲う計画を立てる。乳兄弟の側近により兄・藩主に連絡され座敷牢のような監視と拘束の中での生活になることになった。
間野生馬が隠居所を構える前の隠し子ではと疑惑がわく。生馬は十河藩の御為派・江戸家老と上屋敷用人と御国派・相談役の老人と御納戸頭、千葉栄次郎と反町同心、恵比寿屋親子を集め、自分は十河藩の誰とも血縁でないと言った。名乗りを挙げても証明するものがなく騙りと言われるだろうということになった。十河藩の江戸家老、上屋敷用人は役を返上し、国許へ帰った。相談役は隠居した。東国の小藩から養子が来た。
君は、生馬には前に生馬から借りた母親の形見の懐剣があることを思い出した。本当は血筋ではないかと思ったが、生馬はそれを選ばなかったということだ。
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