お紗代夢幻草紙 鬼呼の庭 三好昌子
明和五年 1768年
韓藍の庭 丁字屋の寮の隠し離れの鶏頭の庭の鶏頭を切り倒した。亡くなった長男・市松の意を聞き紗代がやった。紗代は庭師「室藤」の一人娘だった。丁字屋には市松、岩松兄弟と母親との蟠りがあった。市松は自分の宝物・柿の木の根元に埋めた岩松から貰った独楽を紗代にあげると言った。
時迷の庭 明和六年 如月 備前屋の持ち家の庭から石を運んできた。備前屋の孫娘・珠がいなくなった。庭を作った紗代の今は亡き祖父と話し、庭から運んだ石を庭の橋の上に置く。祖父が言う通り川に飛び込み珠を見つけるが、珠は子供たちと楽しく遊んでいる。珠を抱きしめ川に飛び込む。無事備前屋の庭に帰った。
人恋の庭 「庭封じのお紗代」と言われた。好古庵の隠居が庭が怖いと言って借家の借り手が出て行くと言う話をする。庭を見た紗代は、昔ここに住んでいた雪華堂の娘・梅を連れてくる。時期を過ぎた梅に白い花が咲く。梅は必ずここを買い戻すのでこの家を売らないでと頼む。
魂消の庭 殺生屋敷の庭、柳が人を取り込む。紗代は命がけで柳を切った。紗代は雌株の枝と雄の若木を持ち帰った。柳との約束を守った。
鬼呼の庭 室藤を継いで貰いたい清さん・清造の好きな女・蔦は、庭師をやめるように言う。紗代は鬼呼の庭で蔦の母・希久と会う。鬼とは亡くなった人の魂のこと。蔦が庭師を嫌う理由を聞く。希久は庭で怪我をして亡くなった。希久は木から落ちた蔦を庇い怪我をした。蔦の看病をしているうちに自分の怪我が悪化して亡くなったということを蔦に伝えた。蔦と一緒庭師「空木屋」の一人息子・源治が紗代に結婚をもし込む。鬼の庭の主・江様が亡くなった。
言祝の庭 清造が蔦と祝言を挙げ室藤を継ことになった。紗代には岩松からの縁談もあった。紗代は鬼呼の庭の主になって欲しいと頼まれた。江様の孫・千勢があとを継げるようになるまで五年、あの世とこの世の境目を仕切って欲しいということだった。まだ力が足りない千勢と友達のいない千勢とこの庭を守ることにした。
0 件のコメント:
コメントを投稿