2021年2月21日日曜日

九頭竜覚山浮世綴〈四〉 

九頭竜覚山浮世綴〈四〉 小名木川 荒崎一海 

 元柳橋の芸者ばかりが住んでいる店子の貸家を営む信兵衛が、若い囲い女と死んでいた。相対死か殺しか、北町奉行所定町廻りの喜平次は覚山に疑念を持ちかける。

 信兵衛の遺体の引き取りを、恵比寿屋の当代が断った。信兵衛は両替商・大江屋から入り婿だった。子供が無く、信兵衛の義理の妹・四女と、次女の嫁ぎ先・住吉屋の次男が縁組みして継いでいる。信兵衛とは行き来が途絶えていた。

 松吉が大好きな芸者の友助が住吉屋に落籍された。信兵衛の持参金と土地が目当ての住吉屋の犯行ではないかと思われた。信兵衛だけでなく、女が二人殺され、行き来があったと思われる男も一人殺されている。落籍された友助に住吉屋が居たか聞きに行く。居たと言った友助だが、嘘を言ったことを気に病んで自殺した。

 犯人は吉次郎だった。宗兵衛が信兵衛のことを調べるように頼んでいた。殺した後住吉屋宗兵衛に二人を殺した。二十両出せ。出さないと住吉屋が殺したと訴えると脅された。三十両要求され吉次郎を殺した。信兵衛の残したものは恵比寿屋の物になると思っていた。

 

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