2021年2月7日日曜日

居酒屋ぜんや⑦ 

居酒屋ぜんや⑦ ふうふうつみれ鍋  坂井希久子

 春告げ鳥 武家の次男坊・林只次郎は飼っている当代一の美声を誇る鴬・ルリオの雛が成長し美しい声で鳴き始めたことを喜ぶ。一羽は只次郎がハリオと名付け、一羽を勘定奉行久世丹後守の用人・柏木に譲る。タマオと名付けられた。只次郎は姪・栄を奥御殿に上げる口利きを頼んだ。後一羽は、ぜんやの常連客が集まり鴬に対する思いを語り、俵屋の小僧をしている熊吉に決まった。熊吉はヒビキと名付けた。俵屋が一両を払った。

重蔵は近江屋を見張る目的で、近江屋の用心棒に戻った。近江屋は月に一度ぜんやに食事に来ることになっている。鴬の譲渡会は重蔵の送り会も兼ねた。

 授かり物 升川屋の志乃が二人目を身ごもった。何も食べられない志乃にぜんやの妙は千寿の分も食事を作る。千寿が何も食べないことを志乃が心配していた。妙は只次郎の言葉を参考にして千寿の分を作った。母親志乃が美味しく食べるのを見て千寿が欲しがった。志乃は升川屋との噛み合わない会話の苛立ちを吐き出して帰った。

長屋のおえんさんも身ごもったようだ。

 半夏生 端午の節句、甥の乙松の祝いに柏が来て、栄を見て帰った。八才の栄には早いと言われるが、女に学問はいらないという兄・重正の元で、時間を無駄にするより知賢を持つ女性がいるところで磨かれるほうがいいと只次郎は考えた。

只次郎は吟味方与力・兄嫁の父・柳井に、妙との中が進んでいないことで嗾けられる。

只次郎は蛍見物の夕涼みの客のため出店をしようと提案する。白瓜の冷汁一杯十文で出店をすることになった。只次郎は町人の格好で手伝う。去年町人のタダさんに一目ぼれした三河屋の娘・浜に見つかる。三河屋は商才のある只次郎に養子に来て三河屋の分家を任したいと願う。只次郎はしばらく考えさせてください。と返事する。

 遠雷 えんは亭主の浮気を疑う。亭主は誰にも知られないように安産祈願をしていた。只次郎は疑いを捨てないえんを連れて寺社参りの亭主を見せる。

只次郎が妙のことを好きなことを知って、浜が妙に会いに来る。妙は只次郎は浜と一緒になると思っている。自分は町人で、後家で年上でと。

 秋の風 三河屋に言われて二ヶ月が経った。分家する店を見に行ったりするものだから、只次郎は三河屋だったらと店の商品を考えたりするがやはり断ろうと決心した。言う前に三河屋が浜は番頭と一緒になることになったと言いに来る。みんなにはからかわれるが浜を傷つけなくてすんで良かったと思った。

近江屋を使って父親や友人を見張っていたと思われた、近江屋があの人と呼ぶ人と思っていた松平越中守が老中筆頭の任を解かれた。

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