2021年2月9日火曜日

新吉原裏同心【三】乱癒えず

新吉原裏同心【三】乱癒えず  佐伯泰英

 神守幹次郎が、禁裏の刺客・不善院三十三坊を斬ってから、禁裏と西国の雄藩の影が祇園の町にちらつく。入江同心に誘われ火事の後そのままになっている函谷鉾の地下蔵に潜入する。そこは阿片窟になっていた。函谷鉾の蔵の土地の持ち主・猪俣屋は去年不善院に殺されていた。猪俣屋の大番頭宮蔵から情報を得、仲源寺の地下蔵で、禁裏御料方副頭・綾小路秀麿卿と薩摩藩京屋敷用人頭南郷皇左衛門のやりとりが「天明大火復興録」に書かれていた。祇園の自治に関わる、この内容を知ったことで猪俣屋は殺されたのだろう。幹次郎は記録のあったことは誰にも言わなかった。

 江戸吉原では澄乃と佐吉が俵屋の乗っ取りの取っ掛かりになった色事師の小太郎をさがしていた。汀女が住む柘榴の家の女中あきが勾引かしされそうになったことで小太郎の居所を突き止めた二人は乗り込むが、小太郎は殺されていた。あきの勾引かしに関係した男を調べ、奥山の見世物小屋を突き止め、吉原の五丁町の名主池田屋が浮上した。池田屋も見世物小屋で殺された。

 

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