テーラー伊三郎 川瀬七緒
津田海色(アクアマリーン)は自分が住む保守的な田舎町の商店街の老紳士服店に飾られた美しいコルセット”コール・パレネ”を見た。
老人・伊三郎の新しい出発だった。全てが手作りの紛い物を使わないコルセット。身体に合わせて作れば腰痛も感じないコルセット。アクアは母の仕事の関係からフランスの時柄に詳しく、自分を発揮できる場所を得た。
下着に反発する女史や役所を気にする息子、商店街の会長の言葉をもろともせず、二人は紳士服店・テーラー伊三郎の改装に、商品作りに励む。
アクアの同級生・明日香、写真館夫婦、パーマ屋、刺繍の達人、古い板金屋、建具屋。一流の職人たちの協力でアクアのイメージの店が出来上がる。
開店前に、アクアの友人・隼人と写真屋の主人の協力でネット配信もされた。
開店日、開店前に300人もの行列ができ、花火が打ち上げられ、アドバルーンが上がる。白い鳩が飛ばされた。伊三郎の開店の決まりごとだ。
商店街にテレビも新聞記者もくる。急遽、豚汁やコーヒーが振る舞われ、商工会の若い人は臨時許可を取りに保健所へ行く。みんな喜んで損得なしに協力し団結していた。
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