2021年5月8日土曜日

花人始末 出会いはすみれ

花人始末 出会いはすみれ 和田はつ子

 花恵は、千代田の城の庭の世話を任されている植木職・九代目茂三郎の娘、一年前から八丁堀七軒町に植木屋を兼ねた花屋・花仙を営んでいる。

 味噌問屋の若旦那・仁兵衛が殺された。花恵の幼友達・とよが嫁入りしている。花恵は仁兵衛と破談した過去があり、下手人として疑われる。

 花恵は仁兵衛殺しを調べていく。生け花の師匠・靜原夢幻が助けてくれる。息子を可愛がる母親・ぬいが異常だったが、ぬいも殺され、自殺に見せかけとよも殺される。とよのお腹には子供もいた。最後には主人・庄左衛門も死んだ。

 仁兵衛は六千五百石の旗本森田家の妾腹の息子だった。森田家の嫡男が続いて亡くなり、仁兵衛を跡取りにしようという話が出た。妻は許さず、北町奉行・笹本に仁兵衛とその血筋を根絶やしにしてほしいと言った。森田家の実娘は大奥で上様の子を産んでいる。出世が望みの笹本は留守居に就けるよう口添えすると言われ断らなかった。庄左衛門に話をし、庄左衛門は実行した。
 仁兵衛は事故死で、夫を亡くし心の平静を失った嫁が姑を殺し自死した。生きる気力をなくした主人が後を追ったということになった。
 笹本は今までの横領や悪事の発覚が近いと思い、切腹した。
 庄左衛門の死は夢幻によるものだと花恵は思った。

 花恵の嫁入り話は、花恵がごろつきに乱暴されたというでたらめな話のために破談になった。とよがぬいに話したことだった。

 

 

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