もういちど 畠中恵
まだ田植えも終わらないのに暑い。雨が降らない。暑くて弱った廻船問屋兼薬種問屋、長崎屋の若旦那・一太郎を少しでも涼しい根岸に連れて行こうとした。船が転覆し一太郎は助けられたが赤ん坊になっていた。水神宮様が薬を下さった。苦そうで赤ん坊の一太郎は飲めそうにない。赤ん坊だが、一太郎の記憶はそのまま、何もしゃべられないが、一太郎はわかっていた。
一太郎は星の玉を持っていた。代替わりをする星だった。ひびの入った天の星に水神宮の水薬を掛けた。玉は一気に上へ消えた。一太郎は寝て起きる度に大きくなった。一郎太は元気な子供だった。根岸の勘助と出会う。人買い事件を解決し、薬草を摘み干しておけば長崎屋が買うことになった。また種を蒔いて増やすことも考えた。
一太郎が、すぐ大きくなるので引っ越しする。
両国で浪人から剣術を習う。たいそう丈夫だ。道場破りと一太郎の師匠が勝負する。一太郎は見たかったが二人の兄やに抱えられ遠ざかった。
長崎屋に帰ると、栄吉の見合い相手がいた。娘の父親が一太郎の巾着袋を間違って持って帰っていた。中に蒼玉が入っていたので一太郎は探し回る。娘の実家・如月屋の番頭が持ち帰ったと考えた一太郎は番頭の長屋で見付ける。番頭は逃げた。蒼玉は取り返したが巾着に入っていた十両あまりは持っていかれた。番頭は自分の店を持ちたかったようだ。
商人を追い掛け回す深編み笠がいるようだ。深編み笠のために一太郎が寝込むことになった。誰が何のためにしていることか調べる。豊島村の龍の石を代官が持っていってしまった。山口屋から旗本に贈り物にしようとしていた。それを取り返すために深編み笠をかぶり村人が探していた。山口屋が旗本に渡そうとした時、小鬼たちが持ち上げた。玉が浮いているように見えた旗本は、こんな石いらないと言って落とした。
二度と走り回れないと一太郎は涙を流した。
0 件のコメント:
コメントを投稿