2022年1月12日水曜日

吾妻おもかげ

吾妻おもかげ 梶よう子

 菱川吉兵衛の父親は安房国保田で縫箔師をしていた。奉公人を置いて工房になっていた。吉兵衛は17才で江戸 に出て知り合いの縫箔師に寄宿し十年が経った。父親からたっぷり仕送りを貰って、吉原で遊び、芝居を見る。長男だが、父親の後を継ぐ気にならず江戸で絵かきになる。
 吉原の火事をきっかけに、揚屋・丸川の女将・さわと一緒になり丸川で絵を描く。
 草双紙の挿絵を描く。江戸発信の版行物を出したいという鱗形屋孫兵衛と協力し合う。
 絵と話しが同じ頁にある草紙を摺った。挿絵は誰が描いたか話題になり挿絵者の名を書くようになった。子が出来、仕事が忙しくなり吉兵衛は吉原をでた。
 菱川師宣の画号を入れ絵本を出す。江戸の案内本、吉原の案内本。絵本の絵師であり肉筆画も求められた。息子も弟子も工房で菱川師宣の名の作品を描く。新しい大和絵を作り上げた。
 染師になりたい息子や、自分の絵を描きたい弟子たちが工房をはなれていった。

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