御坊日々 畠中恵
明治二十年
二年前、冬伯は、一旦廃寺になっていた東春寺を建て直し住職になった。檀家は残っていない。玄泉という弟子がいる。
廃仏毀釈の嵐が吹き荒れ大変な時期に先代住職が突然亡くなり若い冬伯では支えきれなかった。 冬伯は相場師に預けられ地味だか損をしない相場師になり寺を建て直した。
冬伯は今も師僧の死の真相を追い求めている。
色硝子と幽霊 料理屋八仙花の女将が、売り上げが落ち込んでいる八仙花の立て直しについて相談に来る。八仙花は以前に色硝子にしていた。息子が建て直しを迫る。そのために幽霊まだ登場させた。女将の夫は、相場に手を出している。今は止めているが教えてもらえないかということだった。冬伯は相場に固い損をしない相場はないのだと言う。幽霊で人が来ているのならそれを売りにすればいいと言った。後の手紙で女将は知らせてきた。
幽霊の芝居をすることにした。夫と二人で庭に花を植えることにした。継ぎは嫁に店をつがせることにした。
維新と息子 老舗紅屋北新屋の跡取り・昌太郎が相談に来る。昌太郎が生まれる時、同じくして産気付いた小間物屋井十屋の妻が助けを求め、北新屋でお産をした。井十屋の妻・マサが亡くなった。二人の赤ちゃんの世話を北新屋の者がしていた。北新屋の妻・与志江が乳をやろうとして大女将が赤ちゃんを差し出すと、井十屋の子だと言った。大女将が抱いていた子を昌太郎として育てた。与志江は総領息子・昌太郎を可愛がらなかった。大女将が亡くなり与志江は井十屋の文吉を探し始めた。昌太郎は自分の子供がもうすぐ産まれる。それまでにこの話しをきっちりしておきたかった。文吉が見付かり北新屋に現れた。
昌太郎は文吉を自分の子だと言う母を見て、自分が小間物屋井十屋をやっていく。文吉の借金も自分が払うと言った。自分が失いたくないのは、妻・加乃と生まれてくる赤子だからということで、亡くなった井十屋の供養をしていくと言った。代言人をたて、証人を探し、証文を交わし役所への届けでた。北新屋と井十屋は全く関わりがないことを約束した。
昌太郎は西洋小間物屋を始めた。
明治と薬 冬伯は師僧から漢方の処方を受け継いだ。雨の中、冬伯の兄弟子・今は隣の神社の宮司になっている敦久が具合を悪くしてやってきた。冬伯は十数年前、僧から神職にさっさと変わった敦久を許せなかった。冬伯は敦久が師僧・宗伯の傍にいれば宗伯は死ななかったと思っている。
貧民窟から元警官の西方に聞いたと、公園の設計図を出せとやってきた。設計図は金になると言うがこの寺にそんな物は無い。言っている間に、頭以外の者が、寺の所有物を持ち去った。薬草や薬研やくすりの調剤道具から重箱、書物等。頭・辰馬は冬伯の言葉を聞いた。貧民窟から出ようと思った。
敦久は、師僧が神職になるよう言ってくださった。妻子がいて路頭に迷わなくて良いように。神職になり見習いとして遠い神社に行った。ことを話した。
辰馬が寺の道具を見付けた。師僧の日記もあった。
お宝と刀 冬伯が、徳川の埋蔵金を見付け寺を建て替えたというような噂が流れた。埋蔵金を出せと刀を持った二人が寺に来る。徳川の埋蔵金は持って逃げることが出来ない金。
西方を探し埋蔵金に付いて聞く。埋蔵金が何なのか考える。
辰馬は芝居の仲間に入った。冬伯を狙った二人も刀を持てない者に教えるために芝居仲間に入った。大山は斬られ役をしている。
道と明日 外務大臣に話しを聞くことになった。今の外務大臣が、昔、寺を立ち退きにして公園を造ろうとしていた。外務大臣は、公園の反対運動をしていた住職が亡くなったことを知っていた。もともと病だったが養生せず反対運動をして無理そした。大臣が部下の知り合いの相場師に若い僧を預けた。公園は計画が遅れ銀座煉瓦街建設の話しが出、消えていった。
二つ目の埋蔵金は幕府が貯めたお救い米だった。もう一つあるという。お救い米を売り街を作った。
もう一つを見付けた。町名主たちが積み立てていた。冬伯たちは、内務系大臣に外務大臣の街計画のことを教えた。大東京改造の計画は幻になりそうだと噂が流れた。
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