医療 時代小説傑作選 いやし 細谷正充編
藪医 ふらここ堂 朝井まかて
いつもいい加減な医療をする三哲に娘・ゆんは振り回されていた。大店の子供の診療に行き、三哲は子供の状況を見抜き、適切な指示を出し処置をする。
春の夢 あさのあつこ
呉服問屋で働く春、若旦那の子供を身ごもり堕胎医・ゑんを訪ねる。春は産む気になり帰るが、若旦那に階段から落とされる。死にそうになりながらゑんの家まで辿り着く。子供は亡くしたが春は助かる。ゑんは若旦那を呼び出し春が亡くなったと告げ、毒薬と毒薬が入っていない茶を出しどちらかを選んで飲ませる。若旦那は飲み気を失う。どちらにも毒薬は入っていなかった。若旦那は駕籠で運ばれる。春はゑんのところで働くことになった。
菊姫様奇譚 和田はつ子
藤屋桂助は萩島藩の桃姫の歯の治療に行く。桃姫は菊作り職人だという菊吾に騙されていた。歯の治療をしなければいけないのに桃姫は菊吾に連れ出された。菊吾の仲間だと思われる美沙をつける。香炉や掛け軸を持ち出した。美沙は荒れ寺に行った。棺桶に姫は入れられていた。当て身を喰らわせさるぐつわを縛って桃姫の代わりに棺桶にいれた。桃姫の歯の治療をした。
仇持ち 知野みさき
石川凛、凛の兄は勘定方だった。横領を咎められ自死とされた。石川家は取りつぶされ妹と母は病で亡くなった。兄の形見の文箱から訴状を見付けた。兄の友人・竹内に橋渡しを頼んだ。凛は竹内に嵌められ犯され売り飛ばされた。凛は仇を討つために一年耐えた。凛は望月要に請け出された。刀匠であり伊賀者であった。武芸と医術を教えられた。二年後、要は消えた。竹内は辻斬りに斬られて死んだ。もう一人の仇・山口は江戸定府になっていた。
江戸へ出、津藩に出入りの町医者栗山千歳に目を付けた。千歳の目前で、永代橋から大川に飛び込んだ。助けられ家に運ばれ住み込む。医術をかじっているので役にたつ。
津藩中屋敷へ行った。山口に会った。山口は病気だった。次の機会があれば毒薬を飲まそうと思った。山口は生ける屍と言った千歳の言葉を思い出し、山口の耳元で石川忠直の妹だと名乗り、兄の仇討ちに来たことを告げただけで止めた。
凛の師匠・要は千歳の友だった。
寿の毒 宮部みゆき
小間物屋の女将・きちが毒で亡くなったようだ。きちは離縁になった蝋問屋辻屋の隠居の還暦の祝いの宴席で食事をした夜だった。食あたりと思われたが検視した成毛良衛同心は福寿草の毒だと言った。
夜、気分が悪くなったきちを診療した評判の良い売り出しの若い医者・安川だった。きちは火事で家族を亡くした安川に言い寄っていた。上手く払いのける方法を知らなかった。
0 件のコメント:
コメントを投稿