漆花ひとつ 澤田瞳子
漆花ひとつ 絵ばかり描いている御堂僧・応舜は、病気の母親のために姉の絵を描いて欲しい と頼まれる。女を見るために知りあった傀儡の女。師僧・覚猷の共で見た鴨院義親の似顔絵を傀儡女に挙げた。誰も顔を知らない鴨院義親が殺された。応舜は自分の描いた絵が、平忠盛の手に渡ったと思った。傀儡館に行くが、誰の姿もなかった。女が買った銀の釵子が落ちていた。
白夢 典薬寮の女医師・大津阿夜は四十才で、夫・紀正経に女が出来て出て行かれた。宗仁上皇の皇后・泰子39才の側に仕える。藤原璋子からねたまれた泰子だが、藤原得子が子を生み、泰子と璋子は手を取り合った。璋子は得子を呪詛を依頼した罪で捕縛した。出家するだろう。呪詛したのは朱雀・正経の女だった。検非違使への密告があった。阿夜は泰子の企みだと思う。
影法師 遠藤盛遠が渡辺渡の妻女を殺害した。盛遠が白状し、文覚と名乗り菩提を弔うことになった。相模は信じられなかった。藤原信頼と源義朝(左馬頭)が酒を飲んでいる時。信頼が信西さえいなければと義朝にどうにか出来ないかと嗾ける。
信頼と義朝が院の御所を襲った。上皇を他所に移し、信西を探す。信西は自害した。相模は文覚が現れ助けられた。
信頼と義朝は討たれた。
文覚は、相模に語る。盛遠は信西殺しを命じられ渡辺渡を誘った。渡辺に断られたため渡を殺すため寝所を襲い、妻を殺してしまったのだった。文覚は伊豆へ行った。
滲む月 平康忠の妻・周防と息子・時経は信西の首が晒されている隅にさらされている康忠の首を盗みに来た。信西の首を盗んでいる者がいた。康忠の首も取ってくれる。信西の七男・澄憲と名乗った。
時経は式部省の史生の仕事を貰い、周防は中宮・高松の女房として働く。澄憲の紹介だった。澄憲は都に戻ると周防に荻丸の世話を頼んだ。
澄憲は信西の死の真相を探り、上皇さまこそが帝の力を削ぐために父を殺さしたのだ。澄憲は復讐を考えている。
鴻雁北 尾張尼は桂流琵琶の後継者。源信綱は琵琶を奏でないが「うちぐもり」なる伝書を持っていた。中原有安は帝に教えて欲しいと懇願していた。治部卿の入れ知恵でうちぐもりを手に入れた有安は帝に渡す。平清盛の娘の琵琶の師が治部卿になったことで有安は利用されたことを悟った。尾張尼と有安は清盛に会い、治部卿は琵琶が下手なことを伝える。清盛は構わないと言う。
有安は尾張尼に琵琶を聞かせて欲しいと頼む。どうなるのか。
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