2022年4月6日水曜日

料理人季蔵捕物控㊷ 団十郎菓子

 料理人季蔵捕物控㊷ 団十郎菓子 和田はつ子

 干し牡蠣 幕染屋・小錦屋の主夫婦が別々の場所で殺されているのが見つかった。三才の子供が残された。錦屋の女将の具合が良くないと呼ばれて出て行っていた。浪人の仕業に思わせるため浪人が服毒死したが、犯人は錦屋の主人と番頭だった。錦屋を継がそうと考えていたにも関わらず、女中と所帯を持ち暖簾分けをした小錦屋の夫婦を恨んでいた。悪い風邪が流行、「ここあきや」と書いた暖簾で大もうけする夫婦を許せなくなっていた。
 だが、二人を焚きつけた者がいるようだ。
 
 小羽いわし 豪助があさり売りをしているという。季蔵が心配していると相談に来る。しっかり者の女房・しんが信心にはまってしまっているという。飛鳥女という霊媒師が、うまくいかないのは亡くなった人が、あの世で呪っているからだ、霊の言い分に耳を傾け言われた通り懇ろに供養すれば、道は開けると言う。おしんは織田信長の作った敦盛の笛を買うために競りに行くと言う。季蔵も参加することにした。
 南町臨時廻り同心・南原郁右衛門と文乃という娘がいた。飛鳥女は置物で殴られて亡くなった。南原も殺された。飛鳥女の息子だと言っていた泰助は、油をまいて火をつけた。
 飛鳥女と泰助は南原を殺し、二人で逃げるつもりだったが、反対に飛鳥女は殺された。南原を殺したのは文乃だった。文乃の父は勘定方の役人で、南原が役人と組み父親を嵌め、母親を商家の妾にした。母親は身分ある侍に抗い殺された。妹はかどわかされ吉原に売られていた。病気になり死を待っていた。文乃は復讐した。
 泰助は江戸所払いになったが、川に身を投げた。

 団十郎菓子 季蔵の「塩梅屋」を手伝っている三吉が、納豆売りや団十郎菓子売りをしている。一緒に団十郎菓子を売っている葉菜ちゃんのためだった。団十郎の名を付けているため人気菓子だ。さつまいもの花林糖だ。葉菜が半分屋から仕事をもらっていた。菓子が少なくなって葉菜が追加をもらいに行ったまま帰って来ない。葉菜は大八車の上で首を絞められ死んでいた。見つけた三吉は大八を番屋の裏に持って行き、季蔵の長屋に来た。季蔵は三吉を隠し、普段通りに店に行く。烏谷奉行も田端も松次も犯人は三吉だと言い、三吉を探す。
 疾風小僧が三吉の隠れ場所を提供してくれ、季蔵に化け店を切り盛りしてくれる。季蔵は葉菜の持っていたドングリのお守りと飛鳥女が売っていた丸い珠に穴を空けたお守りから指物師の勝二を訪ねる。勝二が引き受けろくろ錐を作っていた。勝二を殺そうと襲って来たところを季蔵が助ける。季蔵は気を失う。勝二が黒装束を縛った。
 季蔵の気がついた時には半分屋の正体がわかり、三吉の容疑も晴れていた。商家の放蕩息子だった俊兵衛は、父親に寺に籠らされた。父親を毒殺し、病気療養で寮で養生し、店は番頭に任せた。継母を飛鳥女と名乗らせた。食べ物で半分屋をやらせ、阿芙蓉を医者を使ってばらまいた。菓子でも団十郎の名で売れた。言うことを聞いていた葉菜が説教するようになり邪魔になった。勝二に相談していることを知り、勝二を殺そうとして失敗した。

 冬イチゴ 瑠璃が大切に飼っている虎吉が病気になった。心配の余り瑠璃も寝ついてしまった。料亭江戸屋の留守番・冬吉が、水をたっぷり飲ませ石を出すこと。青物類を食べささず、鳥獣を食べさすようにと教えてくれる。
 神隠しにあっていた小間物問屋山城屋の主・助右エ門が殺されているところへやってきた、南町町会所見回り同心・佐竹金四郎が殺される。二人は強欲仲間で繋がっていた。烏谷奉行は町民のために御定法を曲げて即断することがある。佐竹はそれを利用して網の目になっていたのではないか。烏谷の立場は非常に拙かった。
 町会所筆頭勘定方・村井恭之介と佐竹の下にいた岡っ引き弥五郎が殺された。四人の殺しは町会所絡みと見られた。
 冬吉の「冬摘み菜の春待ち弁当」へのお誘いがあった。季蔵も手伝う。
 現れた武士に烏谷は、勘定奉行若林伊織様と呼ぶが、同じ口で伊織の双子の弟・百姓伊助と言い直す。双子を嫌い養子になっていた。
 境遇を嫌った伊助は名主の家に押し入り金を得て伊織に会った。伊織は村井や佐竹、山城屋に担がれ囲米を横領することに疲れていた。伊織は悔やみはじめていた。兄の様子を見て兄を殺し自分が伊織に成りすましたことを自白した。
 伊助は逃げるために瑠璃を人質に取る。冬吉が伊助にぶつかり矢じりを刺し、瑠璃を助け、冬吉は刺されて死ぬ。四人を殺したのも冬吉だった。冬吉の父と妹が出店のためのお金を巻き上げられ殺されていた。復讐だった。
 

 

 

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