新・秋山久蔵御用控〈十三〉 雨宿り 藤井邦夫
忠義者 秋山久蔵は秋山家の墓参りに行き、半天の男に付けられている総髪の浪人に出会った。武士がふたり総髪の浪人を斬ろうとした。浪人は強かった。武士は四千石の旗本永野の家臣。浪人は永野家を辞した黒沢兵衛。永野家から飛び出して来た家臣と女中。追いかける家臣団。黒沢が現れ二人を助ける。永野家の庭に入った植木職人が一人殿様に殺された。黒沢は屋敷に飛び込み殿様を討つ。黒沢も殺された。見届けた秋山は黒沢を御新造の墓の隣に祭った。永野家は家禄を減らされたが残った。
人斬り 久蔵は付けて来る者が誰か。太市に探らせた。初老の女・望月初枝だった。金次が殺された。殺したのは鬼若と呼ばれる男のようだ。男は望月恭之介、十年前に秋山が旗本の用心棒をして秋山の前に現れ斬った平蔵の息子だった。初枝は息子が狙っていることを知らせに来た。平蔵は尋常の立ち合いをしてくれた久蔵に礼を言ってなくなったと言いに来た。恭之介を斬った。恭之介を人斬りにした始末屋の元締めが判った。死罪になった。初枝は髪を下ろし尼寺に入った。
雨宿り 久蔵の息子・秋山大助は、閻魔堂で雨宿りした。男二人に難癖を付けられている女を助けた。次の日、二人のうちの一人が閻魔堂の裏で殺されて見つかった。女は盗賊の頭だった。張り込みを続ける秋山たちは狙う店も知った。この仕事は危ないとしり込みする頭を他の仲間は殺して盗みに出た。盗賊は一網打尽になった。頭は勇次に医者に運ばれたが、死んだ。
隅田川 小普請組牧野隆一郎、息子の薬代のために妻・早苗は小間物屋「紅屋」の主・善三郎と関係を持ち金を得ていた。善三郎が殺され、牧野夫妻が怪しいと思われたが、早苗は息子が亡くなり自死していた。牧野が、酒に酔い半天を着た男と若い侍が殺された。若侍は三千石勘定奉行の息子・柳沢京弥だった。殺したのは牧野。交換殺人だと思われた。京弥は五年前、町娘を手籠めにし、犯人を浅原紀一郎になする付けた。紀一郎は学問所を追われ、乱心し、去年亡くなった。牧野は墓の永代供養を頼み、久蔵の前に現れる。牧野は善三郎と京弥を殺したと言い張り久蔵に斬られる。秋山は浅原左内夫婦に、二人を殺したと言い残し牧野は死んだ。牧野の遺体を引き取り菩提を弔って、妻子と一緒に供養してやって欲しいと頼んだ。
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