京都寺町三条のホームズ18 望月麻衣
〜お嬢様のミッション〜
プロローグ 正月五日、葵と香織は、北野天満宮へ行く。香織は春彦とのことで葵に言えない何かがあった。
小松探偵事務所に、ジウ・イーリンが来て、香港の富豪の娘のボディガード兼ガイドの要請をする。報酬に引かれ小松は無論了承する。
事務所で暮らす円生は、まだ絵を描く様子はない。
イーリンと円生にも何かあったか。
田所敦子は、二十カラットのブルーダイヤを盗まれた。
清貴と葵は若冲縁の宝蔵寺に行く。葵が円生に誕生日プレゼントに若冲の絵柄の御朱印帳を買いそうなので、清貴は円生に買う。後に若冲展への誘いのメモを入れて渡す。
ガイド当日、清貴は、チョウ・ズシュエン本人に断られるよう、飛んできたハイヒールを除けない。ハイヒールを投げて返す。連れて行くのはインパクトのある京都では、縁切り寺・安井金毘羅宮。感動できる京都では、幽霊子育飴のお店。特別な体験ができる京都では、法観寺の八坂の塔の二層目まで登った。小松は円生に葵を迎えに行って貰う。京都らしいランチでは湯豆腐だった。話しは清貴らしく嫌み交じり。
午後は葵が合流して、SNS映えする、八坂庚申堂。嵐山のキモノフォレスト、竹林に行く。
小松は、葵が毒気を抜く人だと気がつく。毒気の強い人は葵を好きになる。チョウは、日本名・梓沙。梓沙、葵と呼びあっていた。
梓沙は三年前に母を亡くしていた。去年の暮れ、父親の恋人が発覚した。
二日目ガイドは午前中は中止、午後は葵が来て、下賀茂神社、水みくじ、縁結びの社、美人祈願の社を廻る。
梓沙の希望で大丸へ行き、宝石アクセサリーを買う。大丸外で事件が起こる。ガードマンの位置が予定と違うことに気がついた清貴は、ガードマンと闘うが、梓沙はガードマンに車に乗せられ連れ去られる。警察に連絡せず、ホテルで父親の来るのを待つ。梓沙のスマホからメッセージが届く。あなたが手に入れた宝と引き換え。不可解な一文があった。
ホテルに警察並の装備が並べられる。プロジェクターで清貴と小松が付けていたカメラをの映像を映す。ガードマンは、周が雇った元傭兵だった。清貴は一人を捕まえた映像が流れ、周は驚く。小松は街角の防犯カメラを追跡し、伏見区まで追った。周は清貴等を引き取らせようとしたが、清貴は、自分たちの方が早く梓沙を見付けると豪語し出発する。
伏見とは逆に鷹峯のホテルに行く。小松に豪華ホテルの防犯カメラを見て貰い、梓沙が入ったホテルを突き止める。尾行が付いており周が現れる。
清貴は、お嬢様の自作自演の誘拐劇、壮大な親子喧嘩にピリオドだと言う。腕の立つ物を置きたくなかった梓沙は、クビになりたいためハイヒールに反応しなかった清貴を採用した。車が見えなくなった辺りにヘリポートがある。ヘリを使って鷹峯に移動。不可解な一文は、何も伝えていなかった君島に「あたしは 大丈夫」というメッセージ。
梓沙は、父親の恋人のことよりも、ブルーダイヤの手に入れ方が気に入らなかった。盗んだこと。梓沙は母親の青い目と似たブルーダイヤを手に入れるために君島を敦子さんの所へ交渉に何度も行かせていた。それを知った恋人は、父親にねだった。そして盗難騒ぎが起こった。パパはママを裏切っただけじゃなく、パパを信じている全ての人を裏切った。父親からダイヤを奪い、敦子に返し、また交渉しようと思っていた。
まだダイヤを手に入れていない周は、大阪で開かれるシークレット・オークションのことを話した。盗難品ばかりが集まるオークションのことを小松は知らせ、一斉検挙となった。
アクセサリーのプレゼントを葵は断った。梓沙はアパレルブランド『華』を立ち上げている。葵が言った「私の人生を変えてくれた町」。気に入った梓沙は後に「私の人生を変えてくれるファッション」というキャッチコピーに使う。
梓沙は敦子に会ってから帰った。
円生はメモを見付けた。京都国立博物館。指定された日は休刊日だった。内覧会。葵も円生も特権にわだかまりがある。
葵と円生は、若冲の絵を見ながら話す。葵は若冲は神様の視点で全てに感動している。特別な物ではなく周りの全てが、特別な物。
清貴は若冲の作品を「神の視点」だと思うと話す。
葵はお金に対する価値観を改めた。お金が欲しいではなく、自由が欲しいと思えば良いという清貴。
葵が庶民感覚を・・・と言っていたことを、価値観の違い、別れの理由と考えていた清貴だったが、葵は、価値観の違いは当たり前、分かり合う努力とか譲り合う理由になるが、別れる理由にはならないと言う。
春彦が清貴に相談にくる。香織の告白の返事をしていなかったからか、告白なかったことにして、これからは友だちとして仲間としてこれまで通り仲良くして。と言われたと言う。
清貴は、勝手な想像をせず、彼女の気持ちを聞いてみたら。好きな子と友だちになりたいですか?蛇の生殺しのようなポジションと言われて、春彦は自分の気持ちを整理して向き合うことにする。
事務所で宴会が開かれた。「お疲れ様会兼新年会」葵、利休、ユキ、秋人。円生には内緒、円生の誕生会だった。
秋人が、相笠くりすの、清貴と秋人をモデルにした昭和初期の京都を舞台にした作品が舞台化されることになったと発表した。
周さんから小松事務所に沢山の報酬が払われた。小松事務所が祇園にいられる。
みんなで乾杯!
番外編 拝み屋さんと鑑定士「彼の胸の内」 わが家は祇園の拝み屋さん⑬より
蔵に、澪人と小春が訪れる。小春は初めて蔵に来た時のことを思い出す。
ほんの一瞬で小春は清貴の心を読んでしまった。自分のほとんどを当てた。
初めて葵に合った時の清貴の心も読み取ってしまった。葵に対する清貴の思い、澪人に、恋しい人を前にした時の頭は覗いたらあかんよと言われた。
衝撃的なひと時。
清貴は、小春が目をそらしたことは、人見知り、警戒心が強いと判断した。人の心が分かるために目を合わさないようにしているとは考えなかった。