2023年4月30日日曜日

口入屋用心棒49 隠し船の館 

 口入屋用心棒49 隠し船の館 鈴木英治

 儀之助は、岩田屋が娘・さちの勾引かしで浮き立っている間に、老中・堀江信濃守と組んで繰り返した悪事の全てを書きつけた帳面を盗んだ。岩田屋を脅し金を手に入れようか迷った末に、儀之助の正体を知る老中・結城和泉守に渡した。和泉守は御蔵普請にかかるに足りない二千四百両の貸しを約束した。
 国許の百姓のためのお金のために、儀之助は、鳥栖屋に盗みに入る。用心棒に斬られる寸前に、倉田佐之助に助けられる。
 湯瀬と一緒にさちを助けに行くことを聞き、儀之助も加わることにした。
 岩田屋は悪事を書いた帳面を盗まれたことを堀江に伝えた。岩田屋は反省し、心を入れ替えた。拉致された。

 さちと一緒に勾引かされ、逃げ出した河合から話を聞いた直之進らは、船が入れる屋敷を探す。さちを勾引かした墨兵衛等も河合を探していた。医者の場所を聞き出し河合を襲う。直之進等はガードを固め、一味を逃がす。後を付け一味の潜伏先を見つける。儀之助も助け、樺山等も一緒に、さちを助け出した。墨兵衛は死んだ。

 岩田屋は結城家の下屋敷にいた。堀江は十人の家来を差し向け、岩田屋を殺すことを命じる。結城家に頼まれた湯瀬と倉田は十人を捕まえる。
 上様の前で、岩田屋と十人の家来を証拠にされ、堀江は帳面の罪状を認めた。堀江が蓄積した財産で御蔵普請をすることになった。
 岩田屋は、自分はどうなっても良い奉公人はそのままでとの願いから、店を残された。岩田屋は隠居した。

 倉田と湯瀬はさちが作った烏賊飯を持って義之介の屋敷に行く。

2023年4月24日月曜日

神奈川県警「ヲタク」担当 細川春菜①

 神奈川県警「ヲタク」担当 細川春菜① 鳴神響一

 28才、童顔で小柄。女子大生か女子高生に見間違えられる神奈川県警江の島署の細川春菜が、本部刑事部の「捜査指揮・支援センター」に移動になった。班には、人文・社会学系の先生担当、工学系担当、理・医・薬学系の学者と医師担当、経済・経営・法学系の学者を担当する者がいる。春菜は、登録捜査協力員の担当になった。各分野の専門知識を持った一般の人を担当する。

 春菜に出動要請が出る。鉄道写真を撮ることを趣味としている〈撮り鉄〉が撮っている最中に殺されたようだ。サンライズ出雲・瀬戸の写真を撮りながら列車の走行音を録音していた。殺された時の録音も残っていた。鉄道関係の登録捜査協力員と会って話を聞く。録音を聞き、サンライズ出雲・瀬戸の音でないことを指摘された。臨時夜行快速列車・ムーンライトながらだという。

 四年前に撮り鉄のために、車をパンクさせられ娘を病院に運べず、娘を亡くした父親が犯人だった。別の場所で殺し、場所を移動させアリバイを作っていた。娘を亡くしてからパンクさせた者を探っていた。彼がブログに得意げにパンクさせた話を書いていたのを見つけた。

2023年4月22日土曜日

うぽっぽ同心 十手綴り③ 女殺し坂

うぽっぽ同心 十手綴り③ 女殺し坂 坂岡真

 女殺し坂 相良潤之介が殺された。長尾勘兵衛は調べる。相良は前に辻斬りにあった潮田源八郎の事件を調べていた。潮田の妻・みおが同じ坂で殺された。みおが巾着切りにあっていた。巾着切りが同じ坂で殺された。
 杏仁堂の与右衛門は冥加金逃れで貯めた金を使い、お墨付きを手に入れようとした。探った潮田と相良は殺された。手を出せないと言われる。勘兵衛が狙われ傷を負う。深編み笠の男は斬った。
 勘兵衛は、与右衛門、年番方与力・小此木監物、勘定組頭・戸澤主馬、鷲山法眼を斬った。
 みおを殺したのは相良の妻だった。相良はみおと情報交換しながら関係を持った。謝りの手紙を出していた。みおは巾着切りに手紙とお墨付きを盗まれていた。巾着切りは杏仁堂と相良の妻を強請った。関係を知った妻はみおを殺した。
 相良が利恵を菩薩と思っていたと告げた。詫び状を書き死のうとしたが思いとどまった。菩薩を抱いていたからだ。死ぬより生きる方がつらい。重い罪を背負って相良の菩提を弔って。

 濡れぼとけ 時蔵が殺された。美人局で同心を辞めさせられ家族と別れた神崎に会う。神崎を恨む男に仕組まれた。妻は商家の後妻になった。時蔵を殺した者の正体は分った。
 加賀藩の元氷奉行・穴水善左衛門は氷を溶かしたことで切腹になった。その娘・凛が美人局で時蔵を殺した。穴吹は現在氷奉行・和倉右近の謀りごとで陥れられた。
 能登屋の紹介で和倉に会った勘兵衛は、勾引かした凛を連れてくるように仕向けた。穴水の墓の前で和倉に縄を打った。
 凛の力を貸す、七助を探す。氷室の奥で氷の阿弥陀如来を彫っていた。神崎だった。勘兵衛は能登屋の妻と娘に合わせる。神崎の妻と娘だった。
 凛を養わなければならない。生き抜くのはしんどい、よく分っているはずだ。

 月のみさき 静は記憶がなく、盗賊の手先になっていた。
 二十年前、乱暴な振る舞いの惣五郎を捕まえた勘兵衛は、百敲きで放免した。惣五郎は甘い情を掛ける勘兵衛が許せない。
 惣五郎は勘兵衛の屋敷に行った。静に会った。
 五年後、記憶をなくした静と広島で出会った。
 静はさよと名乗って、佐伯屋に女中として入る。引き込み役と間取り図面と宝の在りかを探り、知らせる。さよはだんだん思い出していた。勘兵衛に知らせるか迷っていた。家まで行き、綾乃に会う。綾乃から二十六夜に高輪の「月のみさき」でと告げられる。
 佐伯屋からの密告で、佐伯屋が狙われていると、捕り方が用意された。勘兵衛は、佐伯屋を攻め、狙いを吐かせる。同じ広島藩ご用足しの、佐伯屋が抜け荷をしていると告発の用意をしている三倉屋の塩の船を盗もうとしていた。盗みは阻止されたが、惣五郎は捕まらなかった。
 佐伯屋の犬が殺された。佐伯屋も殺された。勘兵衛が助けた卯平親子が殺された。現れた惣五郎の首を晒した。
 綾乃はさよが母だと知った。月のみさきに行こうとしたさよは知らない白塗りの女に助けられ付いていった。
 月のみさきに来なかった。

2023年4月20日木曜日

情け深川恋女房② 母子慕情

 情け深川恋女房② 母子慕情 小杉健治

 与四郎25才と小里は深川佐賀町で小間物屋「足柄屋」を構える。奉公人は太助14才。
 太助には夜会っている娘・華19才がいる。大店の養女で、居場所がないと言う。
 ある夜、横瀬左馬之助が酔って店に来て、愛甲屋三九郎の名を出し、太郎を出せとわめき散らした。与四郎は横瀬と愛甲屋のことを調べ始める。
 千恵蔵から話を聞く。
 十五年前、朝顔を利用した詐欺事件があった。愛甲屋も横瀬も関係があった。

 太郎が母親と思っていた亡くなった喜代は、育ての母だった。
 横瀬は喜代と付き合いがあった。真田家の用人の娘と結婚したが、離縁され娘共々放り出された。娘を育てられず養女に出した。それが華だった。二人は今でもよく会っている。
 横瀬は喜代を気にかけていた。育てている太郎の事も知っていた。
 太助は、喜代の姉・芸者・勝栄だった。勝栄は小間物屋の小僧として太助と接していた。太助も他人のような気がしないと勝栄に接していた。
 父親は愛甲屋だが、与四郎は太助に教えることを躊躇した。
 太助は華から聞かされ勝栄に聞きに行く。勝栄は、妹の子で押し通し、甥だから他人ではない。あんな悪の愛甲の子ではないと言う。

 愛甲は錦鯉の詐欺で捕まった。
 
 
 

2023年4月18日火曜日

栄次郎江戸暦28 殺し屋

栄次郎江戸暦28 殺し屋 小杉健治 

 矢内栄次郎は料理屋で殺人事件に遭遇する。作事奉行が厠で盆の窪に細い針を刺されて亡くなった。雇われた殺し屋ではないか、他にも盆の窪殺人はあったのではないかと調べて行く。

 盆の窪殺人で殺された大名家を探索していた隠密が殺され、八木様の屋敷に七化けの悌次がと言い残していた。
 八木家では桜の宴が開かれる。老中畠山も招かれ商人も招かれる。市村咲之丞が踊り栄次郎は地方の一人だった。誰が狙われているのか調べる。
 栄次郎は過去の盆の窪殺人を調べる。
 
 母は栄次郎に見合い話を持ってくる。旗本への養子だった。栄次郎は行く気がないのでまともに話を聞かない。岩井文兵衛と話す。岩井は調べたようだ。一千石の旗本で頑健な世子がいる。何のために栄次郎を養子にするのか。栄次郎は八木家の宴が終わってからから聞くことにした。

 作事奉行の殺しを頼んだと思われる木曽屋から、また下見をしたと思われる料理屋の女将から悌次について聞く。右耳の耳朶を人さし指と中指で挟む癖があることが分る。

 栄次郎は吉栄師匠に三味線弾きの交代を願う。
 栄次郎は黒子が二人居ることに気付く。新八と挟み打ちにしたが逃げられた。舞台裏で黒子になり誰を狙っていたのか。

 栄次郎の養子話は、権藤家に入った栄次郎が二十万石の大名の養子になる話が進んでいた。父である大御所からの話だったようだ。大名の家臣が栄次郎を狙ったものだった。栄次郎は養子話しを断る。
 鋳掛け屋に化けた悌次を捕まえる。直接栄次郎を襲った大名家の家臣に、栄次郎は養子に行く気がないことを話す。
 母には自分は大御所とは関わりない矢内家の者だと言う。

 

2023年4月16日日曜日

お宿如月庵へようこそ⑥ 満月の巻

 お宿如月庵へようこそ⑥ 満月の巻  中島久枝

 五万石、小石原藩の上屋敷に髪洗え女が出ると噂が広まった。

 二年前、真鍋家に養子に入った源太郎は、如月庵で久しぶりに母・志津と会った。

 梅乃は、十年前、七才の時に亡くなった髪結いの母は、流行り病だったと聞いていた。違ったようだ。岡っ引きの冨八に聞く。不忍の池で、藩士と屋敷出入りの髪結いが亡くなっていた。遺書があり、心中ということになった。

 梅乃は女将の松と元女将の伊勢のところに行く。古い掛け軸の箱から昔の書きつけが出てきた。伊勢から昔話を聞く。伊勢と松がいた九重藩のお家騒動があり九重藩は取り潰しになり伊勢は如月庵を始めた。

 髪洗え女の噂の元を辿ると、梅乃の母と心中したことになっている武士の息子にたどり着いた。山田畝輔。八才だった畝輔は叔父に引き取られ元服してから家老に預けられた。だが、父親の死を心中とは思っていない。ちょっとつつくつもりでざんばら髪の女の幽霊が出たと噂を流した。何かわかるかもしれないと思った。

 梅乃は小石原屋敷、髪洗い女の成敗はみせかけだったこと、畝輔の話をを松と桔梗と樅助に話した。
 小石原の屋敷に雨漏りを起こし当主が如月庵を訪れるように仕掛ける。当主・教常に幽霊を仕掛け自白させた。奥方に腹をたてた教常は奥方に刃を向けた。止めに入った倉本と奥方の傍にいた梅乃の母を刺してしまった。教常は激高すると手が付けられなくなる。二人の死を心中とした。
 
 源太郎と道場に通っていた晴吾は、浅草の天文方に移ることになった。許嫁と祝言を挙げる。紅葉は晴吾と毎日会えなくても、掃除をすると決めた。
 

2023年4月14日金曜日

武士の流儀〈八〉

 武士の流儀〈八〉 稲葉稔

 男の矜持 桜木清兵衛は、夜頭を殴られ倒れているところを、与助に助けられる。少し離れたところで殺人があった。清兵衛は与助を疑うが、自分も同じ立場だった。殺された福地が行く飲み屋で、菊と仲良く話す福地に嫉妬した下っ匹の時助の犯行だと調べ上げた。時助を使っている孝造に連絡する。

 後ろ盾 柏屋の主・籐兵衛が妾・すみと手を切りたいが二百両要求された。女房に離縁を迫られお金を用意できない。すみの後ろに男がいた。困った籐兵衛は清兵衛に相談する。清兵衛は男のことを調べ、名前も昔の花村銀藏を使い、二人の仲を暴く。脅す男に、黒門一家の名を出す。五十両で話を付けた。籐兵衛は女房にも許して貰った。

 本屋の男 貸本屋の杉作は兄の仇を探していた。商売で知った定と深い関係になる。定が杉作と関係があると疑いそめを襲った。その場にいた清兵衛の妻・安江を通して清兵衛はそめと定を知る。定が杉作が誰かを殺すと清兵衛に止めて欲しいと訴える。杉作を見つけ止める。仇・石橋と一緒にいた武士に事を話し連れ帰って貰う。佐倉藩で調べ市橋は死罪になった。杉作は堀田家に再仕官する。定は杉作と佐倉に行った。

 小悪党 清兵衛はもぐさ屋の辰巳屋の親子が強請られていることを知った。息子が妻子がいるが女と付き合っている。女は酒問屋のもうすぐ嫁ぐ娘だった。清兵衛は調べ、二人が出入りする屋敷に行く。当主に仕えている者が人を強請っていると言いに行ったが、当主がさせていることが分った。勅使河原清秋、御数寄屋坊主を名乗っていた。襲ってきた一味を捕らえ清秋も捕まえ大杉勘之助に知らせる。
 清秋は何人もの女犯の僧を恐喝していた。辰巳屋の名を出すことなく裁かれた。



2023年4月12日水曜日

北の御番所反骨目録〈六〉 冬の縁談 

 北の御番所反骨目録〈六〉 冬の縁談 芝村凉也

 年寄同心 裄沢は年寄同心・彦内から呼び出しを受けた。一介の同心の身でありながら増長し、御番所内を混乱させる諸悪の根源を放置しておかないということか。質問された瀬尾、古藤、倉島、佐久間どの件も奉行や内与力から口外せぬことと期待されていると認識している。それを言わなければならないかと問う。彦内はやりこめられる。
 内与力・唐家が訪れこの部屋の有りようも考えなおさねばならぬかもしれぬな。と言う。
 たとえ怖れられる年寄同心であっても決して触れてはならぬ男がいる。

 冬の縁談 裄沢は、茜の勾引かし事件が噂にならぬよう細心の注意をした。茜のことが噂される。調べてみると、関谷家に問題があった。茜を監禁し、友達にも合わせない。今まで断っていた縁談を急に求めるようになった。関谷を呼び出し室町や西田に相談させるが、関谷は聞く耳を持たない。そして聞こえて来た茜の縁談は、倍も年上の、妻を離縁させた後添えだった。妻に乱暴を働き、良い噂を聞かない南の同心だった。
 裄沢に相談に来た若者がいる。吟味方与力・甲斐原之里の嫡男・佑だった。茜に好意を持っているので取り持ってほしいというものだった。関谷も自分の行いを反省していた。
 裄沢は二人を合わす。縁談は進んだ。
 南の同心・孫田が文句を言いに来る。お節介で要らぬ口を出してい、痛い目を見ようぞという。御家人株を売ろうとしている孫田は、二組に声を掛けている。裄沢は二人の商家の主を同時に呼び出し孫田と合わせた。孫田は計略が崩れ縁談どころではなくなった。
 茜の縁談が決まり、甲斐原家を訪れた。勾引かされた時、共をしていた下女の末がいた。茜は結婚にあたり、一つだけ条件を出していた。辞めさせられた末を雇ってくれていた。

 小日向心中 茶道の宗匠の妾と弟子が心中した。納得出来ないと南町の与力・中屋が甲斐原のところに来る。弟子は与力の三男だった。宗匠は二人を許すつもりだったのにと言っている。
 備前屋の力を借りて宗匠に詰め寄る。妾に弟子を誘惑させ二人の様子を覗くことが度重なった。弟子は、師への裏切りの後ろめたさのために、妾は純真な若者に惹かれ心中した。甲斐原と中屋は隣で聞いていた。中屋は真相がわかり充分だ、菊と倅を一緒に埋葬することにした。

 冬芽 来合は、廻方の席を争い負けたことで悪事に走った横手の息子を気づかっていた。仲間外れにされていた。新人同期四人が、手柄をあせった。いつもなら無視される新八にも声が掛かった。功名心に走る岡っ引き崩れの甚六が、盗賊の相談を聞いたと持ってきた話に乗った。今日押し込むという日、集まった者の中に飛び込んだ四人だったが、思った以上の頭がいた。皆が後づさりするなか新八は前に出る。四人の動きを見張っていた藤井が助けに入る。来合も来る。雷霆山を打つ。事無きを得た。新人同心は叱られ謹慎になった。
 横手の役場・町火消人足改同心部屋では横手の悪口が始まる。裄沢は。先輩の落ち度を咎める。菊池は敵に回すことがないように、慎重に振る舞わねばならぬと思った。

2023年4月10日月曜日

江戸の雷神 死化粧

 江戸の雷神 死化粧 鈴木英治

 深川で娘が殺された。四人目だった。死化粧をされた遺体。
 娘の育ての親の玄慈は犯人を捜す。突き止めたと思い屋敷に忍び込み背中を斬られ助けられる。

 枡吉は川縁で人を助けようとした時後ろから襲われ、犯人に仕立てられた。雷蔵に知らされ雷蔵は犯人探しをする。

 六右衛門は娘の護りを頼まれる。

 全てのことが、旗本音崎力五郎に繋がった。張飛が囮になった。雷蔵が駆けつけた時、音崎は自死した。

2023年4月5日水曜日

空也十番勝負 名乗らじ

空也十番勝負 名乗らじ 佐伯泰英 

 安芸広島城下で、空也を狙う武者修行者・佐伯彦次郎の存在を知る。彦次郎との無用な戦いを避け姫路へと急ぐ。

 姫路で世話になった撞木玄太左衛門が自分の所為で姫路に居れなくなったため、江戸の尚武館道場を紹介し、行くことを進め姫路から逃がす。

 空也は追ってを明石で負かし京都愛宕神社で、三七・二十日の修験を終え、空也滝に向かった。明石で会った武芸者と勝負する。八番勝負

 差益彦次郎は空也を追っていた。

2023年4月3日月曜日

三年長屋 

三年長屋 梶よう子 

 藩を致死した佐平次は、妻を亡くし、最愛の娘を失い悲しみに暮れているところ老女の導きで長屋の差配を始めた。三年住めば願いがかなうと噂される「三年長屋」だった。
 お節介を武器に住人との絆を築いていく。

 佐平次の娘は、国元の叔父のところに居た。武士に戻る話があったが、店子を紹介し、佐平次は帰らなかった。

2023年4月1日土曜日

針と剣縫箔屋事件帖③  風を紡ぐ

針と剣縫箔屋事件帖③  風を紡ぐ あさのあつこ

 高弟が娘殺しの犯人だったこと、師範代が自羽したことで門を閉ざしていた榊道場が息を吹き返した。伊上源之亟とちえの働きで門を開けた。
 伊予屋の陽太郎が二十五両の入門料と共に入門した。
 ちえと源之亟の手合わせで、相討ちとなった。ちえは分った。源之亟の練習が。榊は道場を源之亟に譲る。

 ちえの父・丸仙の主・仙助は、技の全てを込めて桐唐草入珊瑚玉模様の地無小袖を仕上げた。大和屋の娘の婚礼道具として大和屋に納めた。
 知らないうちに、盗まれているという泥棒があった。ちえも盗まれた。枕元の竹刀を。気配がなかった。一居も気付かなかった。
 大和屋に納めた小袖が盗まれた。
 寺で鮮やかな小袖を被せられた女の骸が見つかった。小袖は仙助が拵えたものだった。大和屋はいらないと言い、仙助が引き取った。女は、自死だった。
 ちえは、岡っ引き・仙五朗の調べの助けをし、一居に相談する。
 伊予屋からちえを陽太郎の嫁にと、母親の兄を通して話が持ち込まれる。ちえは自分で断りに行く。母親は一を付ける。陽太郎と話の最中に祖父が現れる。
 大和屋の娘が居なくなった。
 盗まれた物が返ってきているらしい。一居が泥棒と木刀で対した。一居の一撃をかわした。泥棒は逃げた。竹刀は返ってきた。
 
 仙五朗とちえと一居は、伊予屋へ行く。隠居と話す。隠居は二十年以上前、町を荒らした飛燕の十半と呼ばれた泥棒だった。そこには大和屋の娘・ゆりもいた。
 隠居の妹・菊は大和屋で奉公し身ごもった。隠居は会津で蝋燭問屋を始めた。菊は亡くなり、陽太郎が残った。菊の息子だった。江戸に戻り伊予屋を始めた。
 自死していた女ははゆりの母親だった。ゆりが五才のころ母親は捨てられ、ゆりは引き取られた。ゆりは祝言がいやだった。母親とこっそり会い、母親に伊予屋に行けと教えられた。陽太郎とゆりは兄妹だった。
 小袖を盗んだ時母親の遺書を置き、骸に小袖を被せ破談になることを願ったがだめだった。
 隠居は五日後に亡くなった。陽太郎が大和屋に行った。何を話したか定かではない。ゆりの縁談は破談になっていないが、ゆりは伊予屋にいる。

 道場に池田が戻ってきた。