2023年4月1日土曜日

針と剣縫箔屋事件帖③  風を紡ぐ

針と剣縫箔屋事件帖③  風を紡ぐ あさのあつこ

 高弟が娘殺しの犯人だったこと、師範代が自羽したことで門を閉ざしていた榊道場が息を吹き返した。伊上源之亟とちえの働きで門を開けた。
 伊予屋の陽太郎が二十五両の入門料と共に入門した。
 ちえと源之亟の手合わせで、相討ちとなった。ちえは分った。源之亟の練習が。榊は道場を源之亟に譲る。

 ちえの父・丸仙の主・仙助は、技の全てを込めて桐唐草入珊瑚玉模様の地無小袖を仕上げた。大和屋の娘の婚礼道具として大和屋に納めた。
 知らないうちに、盗まれているという泥棒があった。ちえも盗まれた。枕元の竹刀を。気配がなかった。一居も気付かなかった。
 大和屋に納めた小袖が盗まれた。
 寺で鮮やかな小袖を被せられた女の骸が見つかった。小袖は仙助が拵えたものだった。大和屋はいらないと言い、仙助が引き取った。女は、自死だった。
 ちえは、岡っ引き・仙五朗の調べの助けをし、一居に相談する。
 伊予屋からちえを陽太郎の嫁にと、母親の兄を通して話が持ち込まれる。ちえは自分で断りに行く。母親は一を付ける。陽太郎と話の最中に祖父が現れる。
 大和屋の娘が居なくなった。
 盗まれた物が返ってきているらしい。一居が泥棒と木刀で対した。一居の一撃をかわした。泥棒は逃げた。竹刀は返ってきた。
 
 仙五朗とちえと一居は、伊予屋へ行く。隠居と話す。隠居は二十年以上前、町を荒らした飛燕の十半と呼ばれた泥棒だった。そこには大和屋の娘・ゆりもいた。
 隠居の妹・菊は大和屋で奉公し身ごもった。隠居は会津で蝋燭問屋を始めた。菊は亡くなり、陽太郎が残った。菊の息子だった。江戸に戻り伊予屋を始めた。
 自死していた女ははゆりの母親だった。ゆりが五才のころ母親は捨てられ、ゆりは引き取られた。ゆりは祝言がいやだった。母親とこっそり会い、母親に伊予屋に行けと教えられた。陽太郎とゆりは兄妹だった。
 小袖を盗んだ時母親の遺書を置き、骸に小袖を被せ破談になることを願ったがだめだった。
 隠居は五日後に亡くなった。陽太郎が大和屋に行った。何を話したか定かではない。ゆりの縁談は破談になっていないが、ゆりは伊予屋にいる。

 道場に池田が戻ってきた。

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