お宿如月庵へようこそ⑥ 満月の巻 完 中島久枝
五万石、小石原藩の上屋敷に髪洗え女が出ると噂が広まった。
二年前、真鍋家に養子に入った源太郎は、如月庵で久しぶりに母・志津と会った。
梅乃は、十年前、七才の時に亡くなった髪結いの母は、流行り病だったと聞いていた。違ったようだ。岡っ引きの冨八に聞く。不忍の池で、藩士と屋敷出入りの髪結いが亡くなっていた。遺書があり、心中ということになった。
梅乃は女将の松と元女将の伊勢のところに行く。古い掛け軸の箱から昔の書きつけが出てきた。伊勢から昔話を聞く。伊勢と松がいた九重藩のお家騒動があり九重藩は取り潰しになり伊勢は如月庵を始めた。
髪洗え女の噂の元を辿ると、梅乃の母と心中したことになっている武士の息子にたどり着いた。山田畝輔。八才だった畝輔は叔父に引き取られ元服してから家老に預けられた。だが、父親の死を心中とは思っていない。ちょっとつつくつもりでざんばら髪の女の幽霊が出たと噂を流した。何かわかるかもしれないと思った。
梅乃は小石原屋敷、髪洗い女の成敗はみせかけだったこと、畝輔の話をを松と桔梗と樅助に話した。
小石原の屋敷に雨漏りを起こし当主が如月庵を訪れるように仕掛ける。当主・教常に幽霊を仕掛け自白させた。奥方に腹をたてた教常は奥方に刃を向けた。止めに入った倉本と奥方の傍にいた梅乃の母を刺してしまった。教常は激高すると手が付けられなくなる。二人の死を心中とした。
源太郎と道場に通っていた晴吾は、浅草の天文方に移ることになった。許嫁と祝言を挙げる。紅葉は晴吾と毎日会えなくても、掃除をすると決めた。
0 件のコメント:
コメントを投稿