猫弁と星の王子⑥ 大山淳子
百瀬太郎は、喫茶エデンで亜子と朝食中に、知らない女性から赤ちゃんを預かる。喫茶店のウエーターに連絡先を伝えて事務所に連れ帰る。
百瀬、岡から相談を受ける。十年会っていない父親と連絡が取れない。目白の家は猫・五美と暮す者に居住権を与えるという公正証書がある。十年経つが、十年前でも年寄猫だった五美が未だに元気だ。調べて欲しいという。父親は、岡丈太郎こと占い師・星一心だった。
赤坂春美が日本に帰ってきた。妊娠し五ヶ月、日本で産む。百瀬と亜子が暮すアパートで産むという。春美は途中で、大学受験を失敗したにも関わらず、詐欺にあい入学金、授業料、寮費を払い込んだという正水直に出会い、百瀬の所に連れてきた。被害届を出し、アパートの部屋へ居候させる。春美は、アパートの大家代行をする。
直は、入学式に行く。東京に着いた日に、横断歩道を負ぶって渡ったおじいさんに遇った。じいさんは、お金は儲からないが、返ってくると占ってくれた。
百瀬は目白の家に行き、住んでいる片山碧人と会う。星一心を探すために番組を作っていた制作会社を訪ねる。片山碧人は五才の時、一心に引き取られ、家庭教師を付けられ家政婦を付けられ生活していた。早稲田に合格し、一心は、早稲田近くに家を買い碧人を見守っていた。
直が写真を見、自分を占ってくれたのが星一心で、自分を騙したのは、片山碧人だと言った。百瀬は警察に情報を提供した。碧人は逮捕された。
目白の家は、特殊詐欺グループのアジトになっていた。逮捕されたのは全員学生。比較的裕福にな家庭に育ち、偏差値の高い学校に通っている子たちだった。碧人は猫を百瀬に預けた。
百瀬は碧人の心が開くように導く。星一心が、碧人を大切に思っていることを説く。
一心が碧人と面談する。一心は碧人に語りかけない。監視員に歯磨きのこと、入浴の回数、毎日の入浴を希望する。日光浴を認めよと注文する。コーラを、歯に悪いものをどうして売ると。変わった面談だったが、愛されていることに気付いた碧人は泣いた。
亜子は、結婚相談所でうまくいかなかった佐藤が、母親が元気なうちに一人暮らしをするというので、自分が住んでいるアパートを紹介する。アパートを見に行った佐藤は、猫が木から降りるのを助け足を捻挫した。処置をした青木その子と付き合いが始まり、始めてあった母親と意気投合し、その日に結婚届を出した。その子は同居を申し出た。家が理想的だった。
直は、全てを話すために家に帰った。母が迎えに来ていた。相談した明くる日、百瀬が母に会い全てを話していたことを知った。亜子が、電話で、直の生活を知らせていた。直と母親は、父に会いに行った。
赤坂の母親が、春美を迎えに来た。赤ちゃんは自分のものではない。みんなの助けで産むものだという母親に連れて帰られた。
碧人は、保護観察になった。詐欺グループ全員の親が、被害者全てに全額返済し、示談を成立させた。百瀬は早稲田に何度も行き、退学は免れ一年の停学、のち復学できることになった。一心は碧人を養子にする手続きを進めている。古い早稲田の近くの二階建てで暮している。五美二世は、シャルルと名付けられた。百瀬は二人の耳の形が同じなので本当の親子ではないかと思っている。
直が、東京へ来た。
百瀬は金沢の母親に会いに行くことにした。亜子を誘う。
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