猫弁と鉄の女 大山淳子
百瀬太郎は、迷い犬を交番に連れて行く老婦人と知り合った。大型犬のサモエド種の犬を自分の家に連れ帰った小高トモエのために、朝の散歩を請け合った百瀬、夕方の散歩は正水直が請け合う。小高家に通ううちに、連れ帰ったポチがここ掘れわんわんと掘ったところから、千両箱と小判が見付かった。報償金として土地の所有者のものになる。また、彼女は解離性健忘を患い解離性遁走の経験者であることがわかった。
二世衆議院議員・宇野勝子は、選挙公約に花粉症対策を挙げた。そのため財産を多摩の山岳部につぎ込んだ。杉の伐採計画を立てる。一緒に仕事をする弁護士がみつからないため、秘書・佐々木が自分のカメレオンのことで世話になった百瀬に頼む。勝子は百瀬と話し気に入る。
山の持ち主が、伐採許可に森林蔵の許可があればと但し書きする山の神と言われる人物がいる。モモリンと呼ばれる彼がいるために、もえぎ村の杉はリッパで山の事故も無い。彼は勝子に杉を勉強することを求める。
モリリンが有名になり、もえぎ村にいくツアーができる。
モリリンと見合いをしたいという客のために亜子は、ツアーに参加し、森の洞穴に落ちる。
亜子が行方不明になったことを知り、森に飛び込んだ百瀬も遭難する。亜子はモリリンに助けられ、百瀬は猫の長老に夜、暖めてもらい難を越す。
選挙で勝子は落ちた。事務所を締め、家は無くなる。勝子はもえぎ村に移り住み山を昔の広葉樹のある森に変えていく運動をしようとする。
百瀬は小高トモエの家に勝子を連れて行く。トモエは勝子の七才の時にいなくなった母だった。勝子の父は、トモエのことを承知していた。亡くなる前に離婚し、千両箱を埋めた土地と家をトモエの所有にしていた。
勝子がもえぎ村に移住することを知ったトモエは一緒に行きたいと言った。勝子と家をシェアすることになった。
トモエは生き生きと暮し、時々昔が蘇りつつある。
百瀬は金沢に母の面会に行った。あまりしゃべらないまま三十分が終わった。母が、たびたび変装して太郎に会いに来ていたことが分った。母は、結婚式の太郎と亜子の髪を整えるために美容師資格をとるための訓練を受けている。
トモエの家が空く。太郎は、亜子の家族に亜子と一緒に住む許可を貰いに行った。トモエの家を借りることになった。
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