2024年1月3日水曜日

柳橋の桜 〈三〉二枚の絵

柳橋の桜 〈三〉二枚の絵 佐伯泰英 

 公儀勘定奉行筆頭用人倉林から、江戸から離れるように言われた桜子は、江ノ浦屋彦左衛門に相談する。その夜、大河内小龍太と共に船で江戸を離れる。
 長崎に着いた二人は、総町年寄高島家の武道場で生活する。桜子が江戸へ手紙を書き船の乗り組み員に届けを頼んだことから、乗組員は殺され桜子が長崎にいることが知れた。桜子に刺客を送ってきたのは薩摩藩だった。父・広吉の死と関係があった。桜子は広吉から何も聞かされていないが、薩摩藩は桜子を狙った。
 二人は、長崎から出港する船団の新造船・長崎一丸の用心棒として乗り込むことにした。
 出島のケンプル医師が、桜子の幼少期の話を聞き、アトリエに招待し、十数年前にコウレルが描いた絵を見せた。コウレルの絵は長崎から江戸までのカピタン一行の江戸参府の光景だった。最後に現れたのは、柳橋の神木三本桜に合掌する三才の桜子の絵と、猪牙舟を漕ぐ広吉と艫下で遊ぶ三才の桜子の絵だった。

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