猫弁と幽霊屋敷 大山淳子
百瀬は、男性恐怖症で引きこもりの千住澄代から依頼を受ける。知らないうちに親から不動産を受け継いでいたが、管理が行き届いておらず「幽霊屋敷」と地域で問題になっているらしい。どうするか任された。
幽霊屋敷の実態を調査する。猫が子猫を産んでいた。五匹の内一匹が生き残りハクビシンと町内会長の孫が育てていた。住所の無い鈴木が、郵便ポストを借りていた。造りのしっかりした家だった。
ホテルを利用した猫と人とのお見合いイベントが行なわれた。百瀬の事務所の猫も参加した。ペットホテルでたてこもり事件が発生する。百瀬の猫も巻き込まれたため百瀬にも事件が告げられた。犯人の要求はイベントに声の出演をしている玉野みゅうと話がしたいというものだった。警察は要求に応じない。百瀬は玉野みゅうを探すが、実態ではなかった。声が似ている千住澄代に頼む。澄代は犯人の前で、映画のゆるりの言葉「ハルト、一生そばにいる。二度とひとりにしないから」と言う。ナイフを落とし座り込む犯人を澄代は抱きしめた。
犯人は逮捕された。刑事・天川が「千住、ぼくだ、天川だ」と呼びかけた。澄代は気を失った。
百瀬は、犯人・鈴木晴人国選弁護人になった。百瀬は鈴木晴人が自分に出し、幽霊屋敷で受けとるはずだった手紙を持っていた。晴人はネットで幽霊屋敷を見て自分の家にし、自分宛の手紙を配達してもらっていた。行くところが泊まるところが無くなってロビーで暖を取った。隣のイベントに玉野みゅうがいると思い、言葉をかけて欲しくて事件を起こした。
晴人の過去は独りぼっちだった。晴人の知らない過去もあった。映画でハルトと呼ばれ感激していた。幽霊屋敷で三十年前に行われたお食い初めの儀式は、晴人のものだった。四年後、一酸化炭素中毒で両親が亡くなり晴人は助かった。幽霊屋敷の借家の住人は晴人の家族だった。小学生時代から養母の介護をし、中学にまともに行けず働いていた。
晴人は鳥獣猫の介護をしていた。具合が悪そうな猫を獣医に預けた。ナイフは、果物を切り動物に食べさせるのに使っていた。執行猶予がつくだろう。
晴人は、千住澄代からの手紙を受け取った。幽霊屋敷は百瀬が事務所として使うので出てきたら住みませんか。玉野みゅうは私でした。騙してすみません。一生お友達でいるというのは本当の気持ちです。一生あなたを一人にしません。自分も一人で引きこもりです。あなとの所へ遊びに行けるようになるため頑張ります。というものだった。
澄代は、四本指だった。小学生の時、妖怪と言われ引きこもりになった。妖怪と言ったのが天川だった。天川は澄代が好きで、妖精と言うつもりだった。警察からの感謝状を持って行った。結婚相談所の亜子のアドバイスを受け、昔のことを誤り誤解を解き、結婚を申し込む。花束を持ちありったけの言葉を言う。何度も通う。澄代はもう玄関を開けてもいいかなと思う。
取り込み最中に、一年前、太郎に赤ちゃんを預けた柊木真弓が、小太郎を預けに来た。小太郎はくせ毛だった。預かった七重は、お母さんは子どもの手を放してはいけない。おかあさんという女の特権を手放してはいけないと、百瀬の母親に言ったと言った。七重は夫に運転してもらい片道六時間かけて金沢に行き、百瀬は文句を言わないだろうと思い、言ってやったと言う。百瀬は七重をハグする。母親は太郎のためにありがとう、安心したと言った。
真弓は赤ちゃんを迎えに来た。亜子は困ったことがあればいつでもどうぞと言った。
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