2020年11月29日日曜日

お宿如月庵へようこそ②

湯島天神社お宿如月庵へようこそ② 三日月の巻 中島久枝 

 梅乃は桐生の織物問屋京屋の主人と妻と息子の部屋係。息子・桑吉の想い人に会うために梅乃は豆腐のカワウの料理を食べる。カワウの女将にここを離れられないと言われた。息子に好きな人がいると知った母親は父親を動かし、息子のカワウの女将との縁談を調えてくる。

 漬物屋丸吉屋の女将が気晴らしにくる。梅乃は女将の気晴らしを考える。亡くなった母親の面影を追う女将。小茄子の漬け方を板前に教わり、母親のやり方に縛られていた自分を知る。私のやり方をしてもいいのだと思えた。梅乃が連れていった寺で、母はおまえの好きにやってごらんと伝えたかったのだと思えた。

 犬を育て売る仕事をする献市が泊まる。犬は狆だ。生まれて二ヶ月の子犬と親犬を連れている。親犬の飼い主に預かり二年たった。返す日が迫り会うために如月庵に泊まっている。約束の日が過ぎても会いに来ない。梅乃は山崎屋の妻に会いに行くが、、山崎屋にも寮にもいない。東慶寺から帰った山崎屋の奥様と会えた。どこにも行くところがないと言う奥様を献市は葛飾に連れて帰った。

 太田屋のおかみ銀がお客様。昔の友達と会うために泊まっている。悪い男に騙され売られるところを助けてくれた友達だった。浜は錺職の親方と一緒になったということだったが、職人だった。怪我をして働けないでいる。会いに来ない浜の代わりに、亭主が金を借りにやってくる。追いかけてきた浜に銀は亭主の悪口を言う。浜と銀はけんか別れする。梅乃は、縁が切れたら淋しいですよと宥める。梅乃は浜を訪ね、子供を連れてもう一度会えと進める。二人は言いたいことを言い。いつでも境遇が変わっても胸にあんたのことはあると言い合う。

 桔梗が篠沢涌衣だったころ二十年前、ちゅう兄と慕った染井忠輔が、屋敷に火を付けられ奥様はさらわれ、自分たちは守継様を守って屋敷を出江戸へ来た。と藩主勝正の嫡男を連れてくる。熱を冷まし元気になったころ、梅乃と紅葉が遊び相手になる。梅乃は守継のことを調べているいる者を突き止め、桔梗に話す。桔梗は蔦野喜十郎に会い話を聞く。守継をさらったのは忠輔だった。喜十郎を連れて来た。忠輔は守継を人質にする。蔦野一族を憎くないか。父や兄の恨みをはらしたくないかと言う。桔梗は昔に戻れない、誰にも今の暮らしがあると言う。板前杉治が投げ矢を放ち守継は桔梗が助けた。守継は帰った。

2020年11月28日土曜日

いちねんかん 

いちねんかん 畠中恵 

 長崎屋の主・籐兵衛と女将・たえはおきの・たえの母ぎんの招待で別府温泉に行く。

 若旦那・一太郎が、色々小袋に入れ取り合わせた藥袋を売り出したらどうかという案を出した。大番頭の忠七が大乗きで話を進めた。町名主の手代に五十両を持ち逃げされた。手代の行き先は突き止められるが、若旦那は表沙汰になると余所に迷惑が掛かることになるので、持ち逃げされたことは終わりとする。藥袋は作るつもりだ。

 京の十丿川屋の番頭が、紅餅の買い付けに来た。貧乏神・銀次が番頭は偽物だと見抜く。番頭は偽の送り状で着いたばかりの紅餅を余所に送ってしまう。長崎屋の者が荷を追うが、荷は長崎屋の手を離れていた。若旦那は紅餅をあきらめ、偽番頭の手に渡るのを防ぐため川に荷を沈めろと背中を押した。

 西から江戸へ疫病が入ってきた。長崎屋には「香蘇散」という疫病に効く藥がある。長崎屋に疫鬼達が来た。疫病神が来た。疫鬼は自分たちが疫病を流行らせたと言う。疫病神は自分が運んできたと言う。若旦那を殺した方が正しいということでやり合う。鳴家たちは大国主命に助けを求める。大国主のところに来ていた大禍津日神様が長崎屋にやってきて疫鬼と疫病神を連れて行った。大禍津日神様こそ日の本全ての災いを統べる方だと言う。

 大阪の薬種の大店・椿紀家から親交を深めたいと申し出があった。本店椿紀家の娘婿を選んで欲しいと言われる。椿紀家の若旦那は疫病で亡くなった。次に罹った娘は、長崎屋の藥を飲んで助かったのだった。候補は大阪両替椿紀家の次男、京紅椿紀家の次男、京の薬種椿紀家の四男だった。若旦那は江戸両替商椿紀家で、一緒に住み、選んだのは京の紅椿紀家の三男・昌三だった。昌三は江戸椿紀家で奉公していた。

 もうすぐ二人が帰ってくると頼りがあった頃、長崎屋に押し込みが入る。佐助と二吉が離れに閉じこめられた押し込みの上に天井板を落として捕まえた。

二人は帰って来た。


 

 

 

2020年11月26日木曜日

新酒番船

 新酒番船 佐伯泰英

 海次18才は、丹波杜氏四代目頭司の父に倣い、灘の酒蔵・樽屋の蔵人見習いとなったが、海次の興味は酒造りより新酒を運ぶ新酒番船の競争にあった。幼なじみの小雪が兄と結婚することに決まったことも切っ掛けになった。新酒番船三井丸に隠れて乗り込むことに成功した。丹波の山を駆け回り足腰がしっかりしていること、木に登れ遠目が利くことが幸いし、新入りとして働く。弓矢を使い、海賊船に襲われている新酒番船を助けることも出来た。最後には、砂浜を走り前を抜き一位で切手を渡す。「惣一番」になり海次は水夫になる。小雪と兄の祝言は延期になった。海次が三井丸で西宮に帰った時、小雪が迎えに出ていた。

2020年11月18日水曜日

つくもがみ笑います

つくもがみ笑います 畠中恵 

 加筆修正とあったが、どこが加筆でどこが修正されたか分からなかった。

2020年11月17日火曜日

料理人季蔵捕物控㊴

料理人季蔵捕物控㊴ 伊勢海老恋し 和田はつ子

 季蔵は町奉行烏谷に頼まれ伊勢参り御膳、羽州の旨い料理膳を考ええる。

 瑠璃と季蔵は鷲尾家の影守の信奉者から命を狙われていた。影守亡き後、引き継いで闇の社会で暗躍していたように思われていた森山主水は、鷲尾家の今後を考え、生きる道を付けていた。

 伊勢参りに行く途中で立ち寄ったことにして羽州から、下山藩の家老の娘と大商家三田家の娘が江戸に阿附蓉を運んできた。季蔵は伊勢参り御膳でもてなす。

 幕府の阿片輸入の江戸の窓口になる。鷲尾家の先代・影親の長崎奉行時代の潔癖さを見込まれていた。森山は 闇社会の横流し等の横やりに巻き込まれないよう戦っていた。家臣の貧乏との戦いの目くらましに二人は使われたが、鷲尾家に一任されることで二人は解き放たれた。


2020年11月16日月曜日

新・秋山久蔵御用控〈八〉 偽久蔵

 新・秋山久蔵御用控〈八〉 偽久蔵 藤井邦夫

 偽久蔵 秋山久蔵を名乗り、如何様の賭場荒らしをし金を巻き上げる。悪質な質屋で安い質草で高い金を請求する。偽久蔵は久蔵の少年時代の知り人・黒木宗一郎だった。久蔵の名を語り恐喝している場に踏み込まれ久蔵に斬られる。手当てを受けたが食事を拒否し死んだ。黒木は、誰にも媚び諂わず誰とでも拘りなく付き合える秋山を羨ましく思っていた。

 家の恥 旗本二千石の次男・葉山孝次郎が殺された。孝次郎は奉公人と一緒になったため家の恥と勘当されていた。葉山家から誰も来なかった。茶屋をしているさきが葬式をする。孝次郎を殺したのは葉山家の若・京一郎だった。強請集り、町娘の付き纏いをする京一郎を諌める孝次郎を殺したのだった。呼びつけた葉山兵庫に久蔵は家の恥は京一郎だったと言い放つ。京一郎は切腹、兵庫は隠居、家禄は半減、京一郎の弟が家督を継いだ。

 恨み節 弥平治が二十年前に捕まえた原田伝七郎が八丈島で死んだ。情婦のつたが伝七郎が死んだら弥平治を殺すと言っていたため、つたを探す。つたは死んでいたが、二人の娘が髪結いになって弥平治を狙っていた。母親の願いを叶えてやるのが親孝行なら、供養を続けるのも親孝行だと諭す。

 隠し顔 太鼓持ちが殺された。薬種問屋の主・伝次郎が御家人の妻と出会い茶屋で会っているのを見たため殺されたと思われたが、妻は死病の夫のため阿片を手に入れるため伝次郎とあっていた。伝次郎は太鼓持ちに強請られ、殺した。御家人の妻も殺そうとして捕まった。久蔵は阿片を妻に返す。御家人が死んだ時、妻も胸を突き自害していた。

2020年11月15日日曜日

風烈廻り与力・青柳剣一郎㊾

 風烈廻り与力・青柳剣一郎㊾ 母の祈り 小杉健治

 五年前、奉行所は盗賊鈴鹿一味の塒を急襲。頭の伝蔵は自ら娘を斬り火を放って死んだ。からくも逃げおおせた手下の扇蔵は一味を再興させた。江戸にもどり一千両を奪った。仲間が次々に刺殺される。

 五年前、盗賊一味を密告したのは、頭の伝蔵だった。娘の母を身代わりに殺し、娘を自由にした。娘は南町定町廻り同心・坂上吹太郎の妻・静になっていた。扇蔵たちは密告者もさることながら、頭を追いつめた坂上を殺そうとしていた。静は夫を助けるために扇蔵の仲間を殺していた。

 捕まって刑場に向かう扇蔵に青柳はすべてを話す。青柳は静を鎌倉の尼寺に送った。静のことは報告していない。真実をねじ曲げた。