2022年5月31日火曜日

仏像破壊の日本史

仏像破壊の日本史 古川順弘
 〜神仏分離と排仏毀釈の闇〜

 1867年(慶応三年 )明治天皇の王政復古の大号令に伴い新政府が行った神仏分離によって巻き起こった排仏毀釈。
 神社と寺院を分離する政策が、なぜ仏教攻撃、文化財破壊にエスカレートしたのか。

2022年5月30日月曜日

八丁堀強妻物語

八丁堀強妻物語 岡本さとる

 日本橋将軍家御用達扇屋「善喜堂」の娘・千秋は、八丁堀同心・芦川柳之助に一目惚れする。心の底から恋いうる相手に出会えた千秋は、芦川の気持ちを確かめ夫婦になるため突き進む。

 芦川の母・夏枝は、息子の気持ちを知り、これからが大変だと思った。相談した上司・与力の中島嘉兵衛はあきらめろと反対した。
 千秋の父・善右衛門は反対するが、母・信乃に説かれ、老中青山下野守に相談に行き、許可を貰った。南町奉行・筒井和泉守政憲には青山より話してくれることになった。
 善喜堂は将軍家影武芸指南役という裏の顔があった。千秋は子供の頃から武芸に才を見せつけ任務に駆り出されていた。
 作事方奉行配下同心・内田源左衛門の養女となって芦川家に嫁いだ。千秋付きの花も一緒に行く。

 定町廻り同心だったが、隠密廻り同心が怪我をしたため芦川が代わりに働く。気が気でない千秋は伯父の勘兵衛の力を借りて柳之助を助ける。
 青山下野守、筒井和泉守、善右衛門の許可を貰い千秋は、秘事を柳之介に話した。そして手を貸した。


2022年5月28日土曜日

花咲家の 怪

花咲家の 怪 村山早紀

 別れの曲 桂はりら子の手伝いで桜野観光ホテルに行った。五年前に一度来たきりだった。
ホテルのピアノを弾く。習ってもいないのに「別れの曲」が弾ける。少女と犬が傍に立つ。少女はユリアと名乗った。五年前、シェパードのいる洋館でユリアにピアノを習ったことを思い出した。でも五年前にはもうその洋館はなかった。洋館があったと言われている場所でまた来ますを言う。

 夏の川 お習字の先生だった菊野弥生先生が亡くなり、先生が家やその他の物を残された遠縁の娘・みぎわちゃん。先生の告別式の夜、着物をはらりと脱ぎ、庭から星空に向かって行進する不思議なあやかしの群れの一番後ろにほっそりした二本足のカワウソの姿で加わった。天の川を目指すように練り歩き夜空から消えて行った。草太郎はそう話した。

 火車 駅前の古い居酒屋の常連さんが、同じく常連さんのケーキ屋さんを元気つけるための花束の注文があった。木太郎は花束を配達に行く。花瓶を探し皆川さんと話し花を生けて帰る。次の日、訪れた木太郎に、娘を殺した少年が大人になって帰って来て、猫を殺していると訴える。怪我を負わされた逃げてきた猫を抱え皆川さんは亡くなった。
 後日、猫を殺していた男は警察に保護を願い出る。皆川さんが火車になり怨念で男を追いかけ、炎に焼かれながら遠いところに連れ去られた。

 約束 千草苑の店内で花咲茉莉亜と漫画家の有城竹友のオンエアがあった。有城の調子が悪そうだ。
 有城は寂しい少年時代を過ごし、友だちはこっくりさんだった話しとか、ゴミ捨て場に捨てられていたのを拾ってきたボロボロのロボットとおもちゃが、大切な友だちだったことを話す。ロボットはずっと君のそばにいるよ。ぼくが君を守ると言ってくれた。約束するずっと君と友だちと言ったのに、転校し友たちができロボットは手元にない。
 一世を風靡した少女漫画家、私の話し相手になってくれるのと言ったかの子。年月が経ち、先日かの子が行方不明になった。真奈姫川に身を投げた噂がある。話し相手になる約束をしたのに。
 有城の具合が悪そうだ。茉莉亜は一緒に行く。有城は真奈姫川で川の方に降りて行く。かの子に誘われる。ロボットが有城の足首を引っ張り引き止めた。間に合った。死んじゃだめ。約束を守れて良かったと言うロボット。誘うかの子。草むらの草が道を開け、茉莉亜が近づく。帰りましょう。かの子は川の中へ、有城は茉莉亜に医者に連れて行かれた。有城はロボットを抱えていた。光る神様も見える。神様は元気になったら見えなくなる。見えなくなってもそばにいる。
 この夜のことは余り覚えていない有城でした。

 


 

2022年5月27日金曜日

花咲家の旅

花咲家の旅 村山早紀

 introduction 風早の街は古くから魔法じみた出来事や伝説が多い街だった。洋館の花咲家の人々が遠い昔から当たり前の人とはどこか違うとささやかれる畏怖の対象だった。

 浜辺にて 千草苑のショウケースの冷蔵庫が壊れ、修理の間店を休む。木太郎は新婚旅行で行った宮崎に行く。妻・琴絵の思い出にどっぷりつかった。

 茸の家 小雪はベランダからトラックの荷台に落ち知らない山奥の町に連れてこられた。家の方向は分かる。小雪はまっすぐ帰る。山の中でおばあさんと猫が暮す一軒家を見付けた。食事を貰い休ませて貰う。猫は名前は丸子。丸子は宇宙人だった。たまたま事故でたどり着いた所で魂が乗り移れる体が猫だった。無理して猫のままおばあちゃんと暮しているので、おばあちゃんが生きているあいだは頑張っていきていると話す。
 次の日、頑張って歩いていると、探してくれていたいた桂が見付けてくれた。小雪は一軒の世話になった家のことを話すが、桂にはつたわらなかった。

 潮騒浪漫 桂は父・草太郎から留学先での話を聞く。教授と北欧の研究に行った時、立派なボートに係留された手漕ぎボートに乗っている時下流に流されオールも失った。流され気付いた時、岸に打ち上げられ、足に怪我をし、傍に壊れたボートがあった。
 スープを飲ませてくれ熱がある自分を介抱してくれた少女は女神だと思った。少女はこのままでは殺されると言い逃げ道を教えてくれた。逃げる前に彼らの仕事を見に行く。彼等はマリファナを作っていた。草太郎は逃げた。ノーターボートの所まで行く前に追いつかれそうだ。助けてくれたのは昆布だった。モーターボートを人がいる浜辺まで連れて行ってもらった。警察に連絡した。森の中の大麻草は燃やされた。
 草太郎の若い頃のお話です。

 鎮守の森 りら子は大学受験に失敗し、家にいた。花咲家の遠い親戚の花咲楠夫さんに会いに行きました。山越えの半ばにある休憩所で、花咲木太郎の孫・父草太郎に聞いて来ましたと呼びかける。カメラで賞を貰い別れていた妻子に会いにここまで来て、今晩の大雨で山が崩れ人里に被害が出ると楠の子供たちが泣いていた。下の町は妻子が住む故郷だった。
楠夫が力を出し祈り、楠の根が土を掴み土砂を食い止めた。彼は鎮守の森の一部となり樹木として生きていた。昔、草太郎は楠夫に会い帰った。
 りら子は妻子に会いに行った。アルバムという喫茶店。楠夫が賞を貰った少女がカメラで写真をとっている写真、と少女が、写真を撮っている父を写した写真が掛けてあった。
 店内の植物がりら子に語りかける。この家のお父さんは山の神様になった。お父さんがいなくなった代わりに私たちがこの喫茶店を守る。ずーとそうしてきたよ。大丈夫だよ。と
 もう一度鎮守の森に行き帰った。

 空を行く羽 茉莉亜はゆすらの歌声を聞いた。ゆすらのために舞台で歌う歌を作られたというのに、ゆすらは自分に自信がなく舞台に立てない。故郷、ダムに埋没した風景、花を思い出し舞台に立つ決心をした。

 Goodo Luck 桂は空港で、SOSを聞いた。電動車椅子の植物たちが先生と呼ぶ人がSOSを発進しています。喋れないようでした。桂は先生とテレパシーで会話する。母親に虐待されている少女を助けたいようだ。母親が少女を抱え階段の手すりの向こうへ放り投げそうです。先生は桂に後は頼んだと言って車椅子で突っ込みました。親子は手すりから離れたが、先生は車椅子ごと階段の下に転がり落ちた。植物が葉と蔓を伸ばし支える。ゆっくりと落ちて行った。桂は母親の虐待を訴えた。先生が呼んでいた紳士に、事情を説明した。
 桂は先生に会った。桂の不思議な力を認めた。先生は私の脳は動き、心臓も動いている。指が3本動くからね、諦めるのはまだ早いと考え直していた。家を改装しようとしていた。




 

 

2022年5月26日木曜日

花咲家の休日

花咲家の休日 村山早紀

 プロローグ 風早駅前商店街の一番奥辺りの花屋さん・千草苑は、今では 、花束や鉢物を売り、なじみの家の庭を手入れをするくらいの仕事に縮小された。店の一部でカフェ千草を営業、花屋の中にFMラジオ局のサテライトスタジオができた。
 昔、プランツハンター今樹木医・木太郎じいさん。息子・草太郎五十代。風早植物園の広報部長であり学者。十数年前に妻・優音に先立たれ三人の子供を育てる。
 長女・茉莉亜。カフェ千草を営むみ、週二日、パーソナリティとして活躍。次女・りら子。末っ子・桂。小学生。
 家族は植物とはなしができるのです。

 魔法のコイン 草太郎は小学校の頃、友だちとは距離を置く付きあいだった。転校生の星野聖也とだけは違っていた。君植物の言葉がわかるって。素敵だね。魔法使いみたいだね。きっかけに話すようになった。草太郎が書く物語を読んでくれる人だった。雨宿りした壊れかけた廃屋で草太郎は聖也の前で植物と話をする。信じるという聖也。
 聖也は、こことは違う次元にある魔法の国の王子だった聖也を、故郷から迎えが来たと言う。たぶんこれでお別れ。草太郎の物語を書いたノートと魔法のコインを交換した。
 聖也は行方不明になった。どこの国の物かわからないコインが残された。

 時の草原 小学生の桂は 夏休みに友だちと半月山に日本狼を探しに行く。子狼を見付けた。お兄さんに捕まえられた。崖から落ちるが、桂の願いがきかれ草木に包まれ落ち子供たちに怪我はなかった。雨も降った。お兄さんは未来から来たと言う。子狼の親は死に、このままだと子狼も死ぬ。子狼を自分たちのところで活かすために連れにきたと言う。

 死神少女 りら子は、夏の夜、塾の帰り、黒く長いフード付きのマントを着て大きな鎌を手にした少女を見た。風邪を引いて寝ているりら子の枕元に現れ、お見舞いに来たと言う。
 りら子は思い出した。母の死の後、しーさんと呼んだ友だちが、風邪を引いて寝ている枕元に現れたことを。お母さんを迎えに来た死神だった。

 金の瞳と王子様 小雪は生まれて間も無いころに段ボール箱に入れられ川を流れている時に桂に助けられ一才になる。桂は友だちと一緒に山に行ってからすこしおかしい。小雪が探っていると熱を出し眠っている桂が、陶器の人形を握っていた。山から拾ってきたようだ。
小雪は庭の石の上へ落とし粉々に割った。誰もいないところに捨てられて寂しかったのだろう。小雪は私の大切な王子様だから命に代えても守り抜く。

 朝顔屋敷 8月13日お盆 木太郎は古い住宅地の中で、オーシャンブルー琉球朝顔の咲き誇る家・内藤さんの奥さんに呼び止められ冷たい寒ざらしを頂く。今日帰るという孫娘・亜矢の話を聞く。
 今年も寒ざらしをご馳走になった。8年前のあの日と同様に。帰らぬ孫を待って3年目内藤さんは亡くなった。その年から毎年内藤さんに寒ざらしをご馳走になっている。

 エピローグ 茉莉亜のカフェに学者のような老人が、ハロウィンの前日、毎年訪れる。明日が誕生日という老人にバラを一輪あげる。老人は港の倉庫街の地下で、精霊とガーゴイルと住んでいた。学者とガーゴイルは人々の生活を守りながら旅をしていた。学者は亡くした娘を思いながら亡くなった。ガーゴイルは、風早を襲う大型台風を飲み込んだ。
 海上で急に消えて無くなった台風のことを知り、風早には不思議なことが起こるからと人々は言った。

 

2022年5月25日水曜日

彼女が知らない隣人たち

彼女が知らない隣人たち あさのあつこ

 地方都市で暮らす咏子は、パートとして働きながら家族とともに平凡な毎日を送っていた。だが連続爆発事件が発生し、今まで気にも留めなかった周囲の異変に気がついていく…。


 息子・翔流が不機嫌で感情の起伏が激しくなり、テロだテロだと言うようになり心配になる。
 咏子は、母親から酷い言葉を浴びせられ平気で呵まれた。娘・紗希には酷い言葉を浴びせないように気をつけ、傷つけないよう注意した。どうして私はこんなに苛立っているのだろう。自分の苛立ちに勝てて良かったと自問自答している。

 パートで古着の縫製を指導している外国人実習生・クエが、石を投げられたり蹴られたり国に帰れといわれたりしていることを知る。
 紗希のクラスメートの母親で、難民支援団体・モトユイを立ち上げた吉澤と連絡をするようになった。事務所に行き、送られてくる誹謗中傷を見た。
 翔流が誹謗中傷を書き送っているのではないかと心配になる。
 翔流は事務所に関わっていた。何かを確かめたくて事務所に来ているようだと吉澤は言う。

 北向きの納戸を片づけミシンを置こうか。自分のための空間を自分で作る。良いかも知れない。

 夫・丈史はヘイトスピーチを送っていた。丈史がはまっているサイトは不法滞在者に対して無茶苦茶な発言をしていた。丈史はパソコンを持って出て行き一晩帰らなかった。翔流は、「親父はっわかっている。これはおかしい、間違っているって。なのに抜け出せない」

 
 
 

 

 

2022年5月20日金曜日

神田職人えにし譚 獅子の寝床

 神田職人えにし譚 獅子の寝床 知野みさき

 のちの薮入り 縫箔師・咲27才の弟・太一は薮入りに嫁取りをした。嫁にきたのは菓子屋・五十嵐の娘・桂。桂を好きなために太一の情婦と間違え咲を尾けた小間物屋・萬作堂の秀吉と知りあう。小間物屋の大店・楓屋の娘・かつらは秀吉が好きで店にも度々行っている。かつらの母親に秀吉は、真面目にとりあわないでと言われて、あきらめて桂に思いを寄せたのだった。二人がどうなるかは分からない。

 花梨が実る頃 姉・冴が吉原に行き、父親も亡くなり、櫛師に弟子入りしたくて師匠の家事手伝いをしている。
 油屋福栄屋の娘・理代15才と知りあう。父親と跡取りの兄を亡くし、母親から邪険に扱われていた娘・理代が婿をとって店を継ぐことになった。理代には母の違う弟がいる。父が亡くなり家から追い出されていた。理代はそちらの家庭との仲が良かったが、兄の代になった時、三年前から付きあいが出来なくなった。理代は弟・祥太を探す。祥太は吉原で暴れた客から冴を助けるため怪我を負い亡くなっていた。
 理代は自分が福栄屋を継ぎ、母の言う相手を婿に迎える決心をした。婿の結納金で冴を身請けし福栄屋に入れた。

 獅子の寝床 咲と修次は、煙草入れと煙管と金具を作ることになった。意匠は牡丹。頼み人は牡丹さん。根津屋という小間物屋に間借りしている紅屋の女将で職人。牡丹さんは、咲の長屋の大工・辰治の元許嫁。太一の師匠・恵三の妹だった。
 腕の良い大工だった辰治は棟梁を目指していた。二十年ほど前、屋根から落ち、怪我をした。中々治らず、見舞い来る牡丹に当たり散らし愛想を尽かされ去られた。牡丹は出羽の紅の行商人と一緒になった。五年前、江戸に帰ってきた。
 咲と修次は、お互いの物を作って交換することにした。