花咲家の休日 村山早紀
プロローグ 風早駅前商店街の一番奥辺りの花屋さん・千草苑は、今では 、花束や鉢物を売り、なじみの家の庭を手入れをするくらいの仕事に縮小された。店の一部でカフェ千草を営業、花屋の中にFMラジオ局のサテライトスタジオができた。
昔、プランツハンター今樹木医・木太郎じいさん。息子・草太郎五十代。風早植物園の広報部長であり学者。十数年前に妻・優音に先立たれ三人の子供を育てる。
長女・茉莉亜。カフェ千草を営むみ、週二日、パーソナリティとして活躍。次女・りら子。末っ子・桂。小学生。
家族は植物とはなしができるのです。
魔法のコイン 草太郎は小学校の頃、友だちとは距離を置く付きあいだった。転校生の星野聖也とだけは違っていた。君植物の言葉がわかるって。素敵だね。魔法使いみたいだね。きっかけに話すようになった。草太郎が書く物語を読んでくれる人だった。雨宿りした壊れかけた廃屋で草太郎は聖也の前で植物と話をする。信じるという聖也。
聖也は、こことは違う次元にある魔法の国の王子だった聖也を、故郷から迎えが来たと言う。たぶんこれでお別れ。草太郎の物語を書いたノートと魔法のコインを交換した。
聖也は行方不明になった。どこの国の物かわからないコインが残された。
時の草原 小学生の桂は 夏休みに友だちと半月山に日本狼を探しに行く。子狼を見付けた。お兄さんに捕まえられた。崖から落ちるが、桂の願いがきかれ草木に包まれ落ち子供たちに怪我はなかった。雨も降った。お兄さんは未来から来たと言う。子狼の親は死に、このままだと子狼も死ぬ。子狼を自分たちのところで活かすために連れにきたと言う。
死神少女 りら子は、夏の夜、塾の帰り、黒く長いフード付きのマントを着て大きな鎌を手にした少女を見た。風邪を引いて寝ているりら子の枕元に現れ、お見舞いに来たと言う。
りら子は思い出した。母の死の後、しーさんと呼んだ友だちが、風邪を引いて寝ている枕元に現れたことを。お母さんを迎えに来た死神だった。
金の瞳と王子様 小雪は生まれて間も無いころに段ボール箱に入れられ川を流れている時に桂に助けられ一才になる。桂は友だちと一緒に山に行ってからすこしおかしい。小雪が探っていると熱を出し眠っている桂が、陶器の人形を握っていた。山から拾ってきたようだ。
小雪は庭の石の上へ落とし粉々に割った。誰もいないところに捨てられて寂しかったのだろう。小雪は私の大切な王子様だから命に代えても守り抜く。
朝顔屋敷 8月13日お盆 木太郎は古い住宅地の中で、オーシャンブルー琉球朝顔の咲き誇る家・内藤さんの奥さんに呼び止められ冷たい寒ざらしを頂く。今日帰るという孫娘・亜矢の話を聞く。
今年も寒ざらしをご馳走になった。8年前のあの日と同様に。帰らぬ孫を待って3年目内藤さんは亡くなった。その年から毎年内藤さんに寒ざらしをご馳走になっている。
エピローグ 茉莉亜のカフェに学者のような老人が、ハロウィンの前日、毎年訪れる。明日が誕生日という老人にバラを一輪あげる。老人は港の倉庫街の地下で、精霊とガーゴイルと住んでいた。学者とガーゴイルは人々の生活を守りながら旅をしていた。学者は亡くした娘を思いながら亡くなった。ガーゴイルは、風早を襲う大型台風を飲み込んだ。
海上で急に消えて無くなった台風のことを知り、風早には不思議なことが起こるからと人々は言った。
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