神田職人えにし譚 獅子の寝床 知野みさき
のちの薮入り 縫箔師・咲27才の弟・太一は薮入りに嫁取りをした。嫁にきたのは菓子屋・五十嵐の娘・桂。桂を好きなために太一の情婦と間違え咲を尾けた小間物屋・萬作堂の秀吉と知りあう。小間物屋の大店・楓屋の娘・かつらは秀吉が好きで店にも度々行っている。かつらの母親に秀吉は、真面目にとりあわないでと言われて、あきらめて桂に思いを寄せたのだった。二人がどうなるかは分からない。
花梨が実る頃 姉・冴が吉原に行き、父親も亡くなり、櫛師に弟子入りしたくて師匠の家事手伝いをしている。
油屋福栄屋の娘・理代15才と知りあう。父親と跡取りの兄を亡くし、母親から邪険に扱われていた娘・理代が婿をとって店を継ぐことになった。理代には母の違う弟がいる。父が亡くなり家から追い出されていた。理代はそちらの家庭との仲が良かったが、兄の代になった時、三年前から付きあいが出来なくなった。理代は弟・祥太を探す。祥太は吉原で暴れた客から冴を助けるため怪我を負い亡くなっていた。
理代は自分が福栄屋を継ぎ、母の言う相手を婿に迎える決心をした。婿の結納金で冴を身請けし福栄屋に入れた。
獅子の寝床 咲と修次は、煙草入れと煙管と金具を作ることになった。意匠は牡丹。頼み人は牡丹さん。根津屋という小間物屋に間借りしている紅屋の女将で職人。牡丹さんは、咲の長屋の大工・辰治の元許嫁。太一の師匠・恵三の妹だった。
腕の良い大工だった辰治は棟梁を目指していた。二十年ほど前、屋根から落ち、怪我をした。中々治らず、見舞い来る牡丹に当たり散らし愛想を尽かされ去られた。牡丹は出羽の紅の行商人と一緒になった。五年前、江戸に帰ってきた。
咲と修次は、お互いの物を作って交換することにした。
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