新・古着屋総兵衛 第十六巻 敦盛おくり 佐伯泰英
文化三年 1806年
七度目の古着大市が近付く。
関東取締出役・通称八州廻りが新しく出来、快く思わない者の企みに巻き込まれる。
商家に関東取締出役を名乗り、費用の寄付を言い寄る族が現れた。古着大市に目を付けた武士が大黒屋にも訪れた。始めは、支配・勘定奉行綾沼越後守惟親を疑ったが、八州廻りに回られては迷惑に思う者が、評判を落とすためにやっていることが判った。
直参旗本七千五百石御書院番頭・松平摂津守公長の入れ知恵で関八州に知行地を持つ旗本が十家ほどが、知行地で賭場を開き上がりを収入にしていた。賭場を潰されることを恐れ、偽の関東出役を江戸で暗躍させ評判を落とし、組織を廃絶させようとした。目付が動いた時、各家の用人が自裁して内所が判らなくなっていた。賭場はなくなるだろう。
古着市の最中、昼間に潜り込み隠れていた摂津守が夜出没。総兵衛の前に現れる。異変を察した大黒屋の世話になっている築後平十郎もやってくる。総兵衛がする神君の命により幕府を護る大黒屋の話、敦盛を謡い舞い終わった時、摂津守は倒れた。影が現れ三人が運ばれて行った。
古着大市の見せ物は、おこも上がりの中吉の昔馴染みの曲芸の親子だった。
イマサカ号と大黒丸でバタヴィアに仕入れにいっていた。新しい船を造る計画があった。船体の骨格がほぼ完成している建造途中の船を買い取り完成させることにした。想定より大きい、船内の設計を変える金銭的な話し合いがあった。信一郎は十人を建造に携わらせてもらう。
信一郎の妻・りんが懐妊した。
イマサカ号と大黒丸の帰りを待って、総兵衛と桜子の祝言をすることになるだろう。
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