2018年10月21日日曜日

新.剣客太平記〈九〉 追憶

新.剣客太平記〈九〉 追憶 岡本さとる
 直心影流峽道場の弟子も三十人を超え、順調に剣客として名をなしている竜蔵は団野源之進から相談を受けた。竜蔵がかって手ほどきを受けた同流派の新田玄道の門弟が、道場荒らしまがいに暴れ心配しているという。
 玄道は竜蔵に道場を預かって欲しいと頼む。竜蔵は娘・夏を道場主にすればいいと思うが、玄道は難しいと言う。暴れ回る菅沼仁八郎は技量はあるが心根が曲がってしまった。仁八郎は新田道場をわが物にして江戸の中心に出て行くつもりだった。防具を付けず、仁八郎は玄道に挑み玄道は倒れ死んだ。竜蔵は一週間を過ごし、三田に帰る。
 夏は仁八郎を倒すために仁八郎が身を寄せている旗本屋敷へ行く。途中、石が何個も飛んでくる。浪人が三人で襲う。助けに来たのは仁八郎だった。仁八郎と真剣で決着を付けることになる。夏は石が当たり、浪人に腕を打たれていた。仁八郎は鎖帷子を着けていた。竜蔵が駆けつけた。堂々とした立ち合いなら黙って見ていたが、汚い真似は許せないと、仁八郎に雇われた浪人を連れてくる。竜蔵が立ち会い、仁八郎は死ぬ。
 夏は二年の廻国修業に出る。新田道場には程ヶ谷にいる中川裕一郎を師範に据えるつもりだ。
 玉かんの仁吉と言われた十手持が、自分の身代わりで女房を亡くし、朝から酒浸りの毎日を送っていた。網綱の半次や猿三が何を言っても無駄だった。仁吉は身の軽い少年・仲太郎と知り合う。仲太郎は角兵衛獅子の親方から栄五郎に助け出され一緒に長屋で住むようになった。栄五郎が亡くなり、仲太郎は一人で万屋をやり頑張っていた。仲太郎を庇護することで仁吉は立直った。小間物屋を開き、自分の代わりに仲太郎が狙われないように注意していたが、仲太郎が勾引かされる。仲太郎の身軽さを利用しようとする泥棒一味だった。泥棒一味を捕まえると、女房を斬った男につながった。男に仁吉殺しを頼んだ商家の主も捕まった。仁吉は仲太郎と親子として暮らすようだ。

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